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283 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 00 55 50.08 ID pPoscKGh0 [1/11] 女子中学生 VS アライさん 親子でお洒落 さてどうしたものか。私は目の前の水着達の前で思案していた。 クラスメイトに女子数人で来週末温水プールに遊びに行かないかと誘われたのだ。 その日は暇だし、特に断る理由は無い。しかし、水着位は新しいのにしておこうと思って買いに来たのだ。 メイド「お嬢様、やはりお嬢様にはビキニは無理かと」 私「解ってるわよ。タンキニにするわ…」 メイド「一応私も付き添いで行きますからね。どれにしようかなー」 そう言いつつメイドが持っているのはビキニ。選ばれし者でないとビキニは似合わないのだ。 やってくるクラスメイトにも背が高くプロポーションが良い女子がいたっけな。 私のテンションが若干落ちていることに気が付いたメイドが満面の笑顔で私にこう言った。 メイド「大丈夫ですお嬢様。顔は良いんですから需要はありますって!」 私「そういうのが好きな男性を社会でなんていうと思う?ロリコンって言うのよ」 水着を買い終わった帰り道、私とメイドはメロンパンにアイスクリームを挟んだサンドイッチを食べていた。 すると少し離れたクリニックから怒鳴り声が聞こえた。 医者「だからお金が無いと診れないって言ってるだろ!でてけぇ!」 アライさん「のだー!」 アライちゃん「のりゃ…うっ…の…のりゃ」 どうやらアライちゃんを抱いたアライさんがクリニックから追い出されたようだ。お金があっても診てくれるわけはないが、アライさんには解るまい。 アライさんはなにやら苦しそうにしているアライちゃんを抱きかかえて途方に暮れた顔でクリニックの前に佇んでいた。 メイド「むぐむぐ…アライちゃん病気ですかね」 私「ほんと良く食べるわね貴方…太るわよ?」 メイド「お嬢様はもう少しお太りになった方が良いですよ。肋骨浮いてるじゃないですか」 私「しょうがないでしょ小食で太りにくい体質なんだから…」 メイド「ほら、ご学友にお嬢様あれに似てるって言われてたじゃないですか。あの船が擬人化されてるゲームの…」 私「それ以上言ったらスタンガン食らわせるわよ。」 そう言いながらアライさん親子を眺めていると、こちらと目が合った。するとアライさんは半笑いでこちらに歩いてきた。 アライさん「そ、そこのメイドと一緒にいる美少女さん、アライさんの子供を助けてほしーのだ」 私「お世辞が言えるなんて随分と苦労したアライさんみたいね」 アライさん「あ、あああの、こどもがおねつを出して耳がいたいと言っていたのだ。色々やくそーを試して一回は治ったのだ。でもまたいたいっていうのだ」 私「耳…ど、どっちの?」 284 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 00 56 12.66 ID pPoscKGh0 [2/11] 珍しく私は間抜けな質問をした。そうアライさんの耳は動くが見せかけの頭の耳が2つ、そして人間と一緒の耳が2つ、合計4つあるのだ。 アライさんは話を聞いてくれる私に、アライちゃんを一度自分で立たせ、両手をスリスリさせながら半笑いのまま話を続けた。 アライさんはアライちゃんの私たち人間に付いてる方の耳を指さした。アライちゃんは痛そうに両手をモジモジさせて俯いているので詳しい表情は分からないがかなりの痛みがあるようだ。 アライさん「こ、この耳なのだ。昨日から痛いって言ってからおねつがでたのだ。助けてほしいのだ!」 私「うーん。うん?」 私は若干イライラしながらスリスリしているアライさんの両手から目を離そうとしてとあることに気が付いた。 私「もしかしてお腹に赤ちゃん居ない?それともそのお腹は食べ過ぎ?」 アライさん「そ、そうなのだ!あかちゃんも居るのだ!」 一応聞いてみたが目の前のアライさんのお腹は食べ過ぎというには膨らみ過ぎている。だが、もしかしたら病気で腹水が溜まっているだけかもしれない。一応確かめておこう。 私はアライさんのお腹を触ってみる。するとしばらくしてお腹の内側から何かが蹴った。 アライさん「今蹴ったのだ。きっと可愛いあかちゃんが産まれるのだ」 笑顔で幸せそうにお腹をさするアライさんに、私は出来るだけ表情を崩さないように努めて応えた。見たところ目の前のアライさんは耳や尻尾の欠損も無ければ大きな傷も無い。 私「そっか…赤ちゃんか…。仕方無い…なんとかしてあげるよ。ただし、このアライちゃんのためならなんでも出来る?」 アライさん「アライさんにできることならなんでもするのだ!でもできないことは無理なのだ」 私「大丈夫。とっても簡単なことだから。じゃあ決まり!ほらそこのアライちゃん、診てあげるからこっちにおいでなさいな」 アライちゃんはよろよろとこちらにやってくると私の膝の上に座った。私は胸ポケットからポケットライトを取り出すとアライちゃんの痛い方の耳を上にさせてライトを当てた。 始めて見たがアライちゃんの耳の中は人間とそう変わらない。さて耳の中は思った通りの状況だ。鼓膜が腫れてこっち側に膨らんでいる。 私「多分中耳炎じゃない?アライちゃんって獣医で良いのかしら?」 メイド「さぁ?でも中耳炎なら耳鼻科じゃないですか?」 私「まぁ良いわ。うちのかかりつけ医ならやってくれるでしょ。貴方はアライさんと先に帰ってアライさんを洗わせておいて。その後家に入れて温かい部屋でくつろがせておいて。ご飯はあげてはだめよ?」 メイド「だーめーでーす。一緒に帰りますよ。私はお嬢様と常に居ろって言われてますからね。ナンパとか誘拐されたらどうするんですか」 私「はいはい、じゃあ帰りましょ。アライさん?自分の子供はちゃんと抱いてくるのよ?」 アライさんは満面の笑みで頷くと、アライちゃんの頭を何度も撫でた。 アライさん「良かったのだおチビ。捨てる神あれば拾う神ありなのだ!」 その言葉を聞いて私は心の中で思った。アライさんに果たして神は居るのかしら?最低でも今回は居るのでしょう。私は女神ではないけど。 285 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 00 56 40.11 ID pPoscKGh0 [3/11] アライちゃん「いだいのりゃああああ。ぎいいいああああああ」 アライさん「なななななおチビがいたがっているのだ!一体どういうことなのだ!」 泣きながら治療を受けるアライちゃんを見て、アライさんは血相を変えて私の襟に掴みかかろうとした。私はそれを手で押し留めようとしたが、勢い余ってアライさんに長椅子に押し倒されてしまう。 私「大丈夫、中耳炎の手術は麻酔が効かないからどうしても痛いのよ。」 アライさんに押し倒された私は仰向けになったままそう答えると、反対側を見た。 アライちゃんは結局獣医を自宅に呼んで治療させた。やはり中耳炎だったらしく、鼓膜の中の膿を取るために手術となったのだ。 獣医「あれですな、このアライちゃんは鼻づまりで耳管からバイキンが入ったやつです。人間の子供にも良くある奴ですな」 私「ふーむ…な、る、ほ、ど。ところでアライさん重いからどいてくれる?」 アライさん「そうだったのだ、悪かったのだ。」 アライさんは大人しくどいてくれた。しかしこのアライさん普通のアライさんより重いから押し倒された時ちょっと痛かった。やはり胸にクッションが必要だ。 私が自分の胸を見ながらしばらくブツブツ言っていると治療が終わったらしく、薬を飲み終わったアライちゃんが耳を抑えながらアライさんのもとにやって来た。 アライちゃん「まだおみみがいたいけど、すごくいたいいたいじゃないのりゃ」 アライさん「それは良かったのだ」 私「本当に良かった。私は約束を守った。次はアライさんの番だよ。」 アライさん「わかったのだ。おちびを助けてもらったのだ!アライさんに出来ることならおまかせなのだ!」 そう言ってアライさんは満面の笑顔を私に向けた。 さて場所は変わってここは室内の競技用プール。そこには買ったばかりの水着を着た私と、ペットショップで買ってきた犬用の水着を着たアライちゃんが居た。 ちなみにアライさんの方は自宅で他のメイド達に風呂でキレイに洗わせている。 私「さ、て、と。じゃあまずは貴方は私とこのプールで遊んでもらうわ。ところでアライちゃんって泳げるの?」 アライちゃん「おかーしゃんと川で良くおよぐのりゃ」 私「あーそっか、じゃあ泳げるね。じゃあ適当に泳いでて。浮き輪とかボールもあるから」 アライちゃん「わかったのりゃ!のりゃー」 アアライちゃんは水しぶきを立ててプールに飛び込むとスイスイと泳ぎ始めた。 アライちゃん「わぁーこのおみじゅちょっとあったかいのりゃ!しょとはしゃむいきゃらたしゅかるのりゃー。のりゃー!」 さてと私も来週末の温水プールでうまく立ち回るために泳ぐとしよう。私は準備運動をしながらプールサイドでいつものメイド服で本を読むメイドに声をかける。 私「貴方も泳げばいいのに」 メイド「私お嬢様みたいに上手に泳げませんからねぇ止めときます。私なんでか体が浮くんですよね。」 私「浮くならいいじゃない。さてあんまり温水プールでがっちり泳ぐとそれこそ浮くから適当に泳ぐ練習するわ」 そう言って私が胸を反らすとメイドはニヤニヤ笑い始めた。 私「なによ…」 メイド「頭脳明晰、容姿端麗のお嬢様でも手に入れられない物ってあるんだなぁって…お、お嬢様ガチ泣きしないでください!私が悪かったですって」 私「う…う…だっで…背と…胸は…努力しても…えぐっ…えぐっ…」 メイド「で、ですけど私みたいに背が高すぎるとモテませんよ!ほんと!お嬢様の身長は140センチでしたっけ?」 私「138センチ…体重26.3キロよ…。ほら…笑いなさいよ…145センチのアライさんより小さい哀れな私を笑いなさいよ」 メイド「お嬢様本当に申し訳ありませんでした。ですから泣き止んでください」 私「あっはっはっはっはっ!10歳から全然見た目変わらないから服の持ちが良いわ!もう水着も昔ので良いかもしれないわね!」 この屈辱と怒りは楽しそうに泳いでいるアライちゃんとその親で晴らそう。私は心にそう深く怒りを刻みつけた。 286 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 00 57 08.28 ID pPoscKGh0 [4/11] 2時間後。アライちゃんは完全に水泳を満喫している。タライ船に乗ったり、浮いたビーチバレーボールで遊んだりとても楽しそうでなによりだ。 アライちゃんには体力を使って、さらに油断してもらわなければならなかったのだ。準備は整った。そう思った私は30センチ位の深さに潜ると、遊んでいるアライちゃんの後ろに浮上した。 アライちゃん「のりゃ!びっくりしたのりゃ!どこからやって来たのりゃ?」 私「水に潜って泳いで来たの。アライちゃんもやってみる?私が後ろから抱っこしてあげる」 アライちゃん「うゆー、やってみるのりゃー」 私「じゃあ息を止めてね。せーの」 アライちゃん「のりゃ」 アライさんは興味津々で私におとなしく抱っこされた。私はアライさんを抱いたまま30センチほど潜るとしばらく潜水したまま泳ぎ、浮き上がった。 アライちゃん「たのしいのりゃー。水の中とてもきれいなのりゃ」 私「じゃあもう一回やるね。今度は少し長く潜るから一杯息を吸ってから止めてね。」 アライちゃん「わかったのりゃ。すーーーーー」 アライちゃんが大きく息を吸い止めた瞬間を見計らって私はアライちゃんを抱いて潜った。ただし、今度の深さは3メートルだ。 当然この深さの水圧では耳抜きをしなければ苦しい。私は片手で鼻を摘まむと耳抜きをする。しかしアライちゃんは耳抜きを知らない。 両耳に痛みを感じたアライちゃんがジタバタし始めたので私は両手でがっちりとホールドする。 アライちゃんが体力十分ならもしかしたら振りほどかれていたかもしれないが、2時間遊び続けたアライちゃんにそんな余力は残っていない。 アライちゃん「むぐぐぐぐぐぐぐ…むぐっ!」 しばらく潜水していると、アライちゃんが突然おおきくビクンと痙攣した。どうやら手術したばかりの鼓膜が水圧に負けて破れてしまったようだ。私はアライちゃんの耳を正面に向けるようにプールの真ん中まで泳いでやってくると、ゆっくりと浮き上がり水面に出た。 私「ぷはっ…」 アライちゃん「ぶはぁああ!ああああいだいのりゃああああぼっばぶっ、おねーしゃんどこにいるのりゃ!たしゅけ・・・たしゅごぼっ」 私はそっとアライちゃんを抱くのを止めて、潜水して姿を消した。アライちゃんは混乱しながらも私を探す。そんなアライちゃんの足を私は強く一回引くとそのままアライちゃんから離れた。 泳いだ際にアライちゃんの耳の中にたっぷりと水が入るように仕向けた。いくらプールが温かいと言っても体温よりは低い水だ。そんな水が鼓膜の破れた耳に勢いよく入り、中耳まで到達するとどうなるか。 答えは簡単だ。めまいで上下がわからなくなるのだ。そしてそんな状況で水中に引っ張られると、当然溺れる。アライちゃんはたった20センチ沈められただけで溺れてしまったのだ。 アライちゃん「ごぼぼぼぼごぼっぼぼぼぼぼ」 水の中で最初は両手両足を動かしていたアライちゃんだったが、だんだんその動きも弱まり、大きな泡を吐くとそのまま動かなくなった。この状態で人工呼吸をすれば助かるだろう。 私は動かなくなったアライちゃんを回収してプールサイドに置くとプールから出た。まだ脈はあるようだがこのアライちゃんにもう用は無い。 私「さて喫茶店でコーヒーでも飲んで帰りましょうか。あなたの給料で。」 メイド「はい…」 287 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 00 58 47.01 ID pPoscKGh0 [5/11] 帰宅すると、言いつけ通りメイドはアライさんをきれいに洗い、温かいリビングの暖炉の前でくつろがせていた。 アライさん「あ!ヒトさん!こんなに良くしてもらって本当にすまないのだ。ところでアライさんはなにをすればいいのだ?」 私「うーんそれはまたあとにしましょ。とりあえずご飯を食べてね。スープでいいかしら?」 アライさん「スープは好物なのだ!ところでおチビはどこなのだ?」 心配そうに自分の子供を探すアライさんに私は笑顔で、毛布に包まれてタライに入ったアライちゃんを見せた。 私「泳ぎ疲れちゃったみたいなの。だから寝かせておいてあげて」 アライさん「そうなのか。おチビにもあとでおいしいものをあげてほしいのだ」 まさか目の前のアライちゃんがすでに死んでいるとはアライさんは疑いもしなかったようだ。当然だ。アライさんからすれば私は病気を治し、子供と一緒に遊んでくれて、身重の自分を家に招いてくれた良い人だ。 アライさんにとっては天使に見えるだろう。私は笑顔で厨房に向かう。 別のメイド「お嬢様、言われた通りスープを用意しましたが。良いのですか?アライさんをあんなに丁重に扱って」 メイド「私もそれは思いました。お嬢様にとってアライさんは…」 私「二人とも、今回は目的が二つあるの。一つ目はあのアライさんを出来るだけ綺麗な外見で殺すこと。二つ目は…」 そう言って私は自室から持って来た錠剤の入った瓶を取り出した。 私「この薬でアライさんと胎児…アラ児ちゃんを同時に殺すことよ。特にアライさんには苦しんでもらうわ」 別のメイド「その薬って…多分一般には手に入らないやつですよね?どうやって入手を?」 私「お父様がね、新しい商売を始めようとしてるんだけど、大義名分ってのが無いと色々揉めるのよ。そこで私を出汁にしたわけ。これはそのお駄賃ってわけ」 父は薬品関係の事業に手を伸ばそうとした際「娘が勉強熱心だから将来どんな薬品も手に入れられるようにしたい」と言い訳をしたのだ。当然そんな言い訳に騙されるバカはいないが、足がかりにはなる。 最初は反発の少ない病院で手に入るような簡易な薬品から始め、おいおいは…と言ったところだろう。実際私も色々な薬品が手に入るのはうれしいことだ。アライさんで実験するという趣味が捗るし、なにより身を守る手段が増える。 私「ということで、この錠剤を1瓶全部このスープに入れてアライさんにお出しして。私はこの子とお風呂に入ってくるわ。どうせ1時間くらいしないと効かないしね。そうそうアライさん用に要らないバスタオルを何枚か用意しておいてね。」 そう言って私はメイドを連れて浴室に向かった。 288 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 01 00 20.90 ID pPoscKGh0 [6/11] そして1時間後、お風呂からあがって寝巻に着替えた私は、予想通り薬が効いたアライさんがバスタオルの上でのたうち回っている様を見ていた。 アライさん「ぬがあああああ、産まれる!産まれるのだぁあああぎゃあああいだいのだああああ!」 あまりの激痛に腹を押さえてのたうつアライさんを眺めながら、私はメイドにコーヒーを持ってくるように言った。今回は私は何もしなくていい。大事に大事にアライさんが育てた自分の子供がアライさんを殺してくれるのだ。 普通の出産でもかなりの痛みだろうが、今回は特別だ。なにせ瓶の中の錠剤の正体はプロスタグランジン。いわゆる出産促進剤。 適量を適した妊婦に使えば問題ない薬だが、人間の適量の10倍を摂取したアライさんは通常より強い陣痛と腹痛に襲われるわけだ。 アライさん「ぐあああああああ、おかしいのだ!まえにチビを産んだ時よりいだいのだ!いだだだだだだあぎぎぎぎいぎぎ」 ヨダレや涙、鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら出産の苦しみを味わっているアライさんだが、痛いのはこの後なのだ。子宮の収縮がこれほど強いと子宮は破れ始めてしまうのだ。 その第一段階が強い痛みと腹痛、つまり今のアライさんの症状だ。それが進み子宮が破れると アライさん「ぎゃああああああああ、あがががが、ひぃいいいひぃいいい・・・あれ?痛くなくなったのだ」 強い痛みと破裂感を感じた後陣痛は少し収まる。なぜか?子宮が破れるとそこから羊水と胎児が飛び出すので圧力がなくなり陣痛が弱くなるのだ。当然アラ児ちゃんはこのままでは死んでしまう。 アライさん「うぐぐおかしいのだ…アライさんのおまたから血がいっぱい出てきたのだ…それにおちびが…おちびたちが出てこないのだ…それに…なんだか…ちからがでないのだ…」 そしてアライさんも子宮破裂の出血で失血性ショックを起こす。通常子宮破裂の母体の死亡率は2%ほどだが、それは対処をするからである。なにもしなければ当然血は止まらない。 アライさんは冷や汗をかいて苦しそうに息をしている。本来子供が出てくるだろう場所からはとめどなく血の色の液体が流れ出す。 アライさん「あたまが…ぼーっと…してきたのだ…おねーさん…アライさんの…あかちゃんは…どうなって…しまったのだ」 私「まだ産まれてないよ?がんばって。そうじゃないと赤ちゃん死んじゃうよ?」 アライさん「うぐぐ…アライさんは…どうなってもいいのだ…あかちゃんを…助けてほしいのだ」 アライさんは薄れる意識の中で私に懇願した。自分の子供の病気を治し、自分を家に招いてくれた良い人間。きっとこの願いもかなえてくれる。アライさんはそう思ったのだろう。 しかし私は首を横に振った。ここで約束を果たしてもらおう。 私「アライさん、約束したよね?出来ることならなんでもするって。してもらうことは簡単なの。このまま赤ちゃんと一緒に、死んで。ね?」 私は無表情でアライさんの頭を優しくなでる。アライさんは信じられないといった風なぽかんとした表情を浮かべた。 捨てる神があれば拾う神あり。そうアライさんは言った。きっとそうなのでしょう。幸運の神はアライさんを見捨て、死神の私が拾ったのだ。 所詮は中耳炎、1週間もすれば大分良くなるだろうし、アライちゃんがアライしゃんくらいにまで成長すれば再発しなくなるだろう。あれだけ世渡りが上手で、性格も悪くはないこのアライさんであればきっと街の中で裕福ではないけれども、幸せな生活を送れただろう。 アライさん「の…のだ…あか…ちゃん…ちび…。もう…目が…見えないのだ…」 アライさんはそう言い残すと意識を失った。もう長くはないだろう。私はもう焦点の合っていないアライさんの両目をそっと閉じさせると、とあるところに電話をかけるために立ち上がった。 そのために私は一つだけ非常にやりたくないことをしなければならない。それは、 私「…採寸をして…」 メイド「え?」 私「身長体重スリーサイズ、腕の長さとかのデータが必要なの…今から測って…あとアライさんとアライちゃんの死体は大事に取っておいて。」 メイド「はいはい、ではメジャー持ってきますね」 流石は私のお付きのメイドだ、特に疑問を口にすることなくメジャーを取りに行ってくれた。私は採寸の準備のために上着とスカートを脱いだ。さて温水プールに行くまでに間に合うだろうか。 メイド達が血まみれになったタオルを片付ける様を眺めながら私は今日の宿題のことを考え始めた。 289 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 01 02 28.70 ID pPoscKGh0 [7/11] プール当日。私はまず絶望した。なんとクラスメイトの地味な女子のプロポーションが良かったのだ。そして予想通りスラリと背の高い同級生のプロポーションは良い。 そしてお付きのメイドは背の高い健康的なアスリート体型。神が居たら私は今なら殺せる気がする。 私「他の二人は私サイドね…良かった…」 クラスメイト1「どうしたのさっきから暗い顔で」 背の高いクラスメイトが心配そうな顔でこちらを見てくる。そう彼女は良い子なのだ。それが余計に辛い。彼女は私の暗い顔を見て元気づけるためか私の来ているパーカーを話題に出した。 クラスメイト1「そういえばそのパーカーすごいね。オーダーメイド?フードの部分が獣耳になってる。」 クラスメイト2「知らないの?アララクーンパーカーって言うのよ。動物のラクーンじゃなくて、アライさんの、それも臨月のアライさんの毛皮を使った贅沢な服なのよ」 クラスメイト1「へー確かにフードの部分はアライさんの頭を使ってるんだね。アライさんの頭が人間より大きいからできるのかな」 クラスメイド3「それに両腕の装飾にアライちゃん使ってるんだねー。高そう」 クラスメイト2「確か市販のでも20万くらいするよねー。オーダーメイドだから…うーん考えたくない。」 クラスメイトは珍しそうに私のパーカーを褒めてくれる。私の苦労は報われたようだ。さてそれでは私も泳ぐとしよう。そう思い私はパーカーを脱いだ。 するとクラスメイト全員が私を見る。私が不思議そうな顔をすると、申し訳なさそうな顔でクラスメイトの一人が言いにくそうに口を開いた。 クラスメイト3「また…痩せた?」 私「いや…そんなはずは…がんばってご飯食べてるし…」 クラスメイト2「そうだよね、最近学食残してないものね」 クラスメイト1「き、きっと大丈夫だよ」 私「そ…そうよね?」 とそこで最後のクラスメイトが戻って来た。彼女は私とパーカーを見ると満面の笑みでこう言った。 クラスメイト4「うわっ漫画に出てくる森の妖精みたいにガリガリだね。顔が良いとこれだけ痩せててもファンタジーの住人みたいに見えてすごいね!」 私「う、うん?」 果たしてこれは褒められているのだろうか。私はさらに難しい顔で考え込む羽目になった。 おわり 291 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 01 13 25.93 ID pPoscKGh0 [8/11] 前々から思ってたけどうちのアライさん絶対他のSSよりでかいと思う。 うちのアライさんは約145~155センチ、アライしゃんが120~30センチ、アライちゃんが50~100センチくらいにしてるぞ 素手の強さは お付きメイド>>成人男性>成人女性>アライさん>アライしゃん>JC>アライちゃん JCの身長138センチは10歳2か月の女子の平均身長だぞ。体重の平均は33.5キロ プロスタグランジンは1時間ごとに0.5mg、最大6回だったはずだから1日3mgが限界量なのでアライさんの陣痛の強度はすごいことに それと鼓膜が破れて溺れるのは結構ある事故なのでみんな気を付けようね! 最後にアライグマやタヌキの毛皮を使ったコートは大体300~400ドルで売ってるぞ 292 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-F062)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 01 22 07.60 ID pPoscKGh0 [9/11] そういえば26.3キロって軽すぎじゃね?って思うけど中学生まではBMIじゃなくてローレル指数を使うから計算式が違うぞ(豆知識) 293 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイW e712-vYIU)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 01 29 58.42 ID hb4vfoUo0 [1/3] 291 乙 調べて作り込まれた作品は、面白いね 294 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイWW 0720-VGFs)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 05 03 59.07 ID u8i8qaOX0 乙 最期まで悪態をつかず、害獣らしさを見せずに死んだあたり芯が強くて大好きです 野良ガイジならJCを罵倒しながら死んでいくだろうに、安直にそういう流れにならないとこがいい まあ、こいつらも食糧は何やかんやで盗んだりしてたんだろうし、 生きてるだけで害になるから駆除して正解だね 295 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 6712-zmdq)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 07 04 27.33 ID izbKdyZM0 乙。JCシリーズ待ってました メイドさん強い。アライさんの強さは野性解放も含めた強さなのかな? 296 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スッップ Sdff-2wX4)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 07 31 50.05 ID vu9fIoOwd JCシリーズのお嬢様っていかにも性格の歪んだ金持ちって感じ エリザベート・バートリーみたいな 300 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スッップ Sdff-2wX4)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 12 20 03.67 ID vu9fIoOwd 297 JCに限らずシリーズものの作者が書きたいのは自分が創作した登場人物だからね。アラスコがいい例。 でもそれがパロディというものなんじゃないかなぁとも思う。 301 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 5f1d-sd6I)[sage] 投稿日:2018/03/02(金) 14 10 32.95 ID pPoscKGh0 [10/11] 295 通常アライさん状態です。野生開放したらアライさんは成人女性より上成人男性より下 アライしゃんとアライちゃんは野生開放できない仕様にしてます。 296 慧眼やなぁ。カーミラって小説のカーミラの方が性格が近いぞ。世界初のレズ吸血鬼小説でとても面白いのでオススメだぞ。 300 確かに他のSSに比べてアラ虐パートが少ないのは気付きました。これからはもっと増やしていこうと思います。アドバイスありがとうございます。 【女子中学生シリーズ】へ戻る
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【板名】小中学生 【理由】 最近電車男などで小中学生の2ちゃんねらーが多いし、年代別から分別して専門に作ったほうがいいと思う 【内容】小中学生の雑談など 【名無し】 後で決める 【ID】 強制 【カテゴリ】カテゴリ雑談
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彼女・彼氏が欲しい人はここで色々な人と交流して、恋人を見つけよう! 要自己紹介!
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放送の時間だああああああああwwwwww ◆wKs3a28q6Q 問。 「突然だけど君のことを殺し合いに放り込んでおいたから! 殺さなきゃ殺されちゃうぞ☆ ミャハ☆」 ――なんてことをいきなり言われて、貴方は危機感を持てるだろうか。 危機感を持ち常に気を張るというのは、とても難しいことである。 出来ると口で言うことは容易くとも、実行するのは難しい。 例えば、料理を想像してもらいたい。 包丁は、人を余裕で殺せる危険なものである。 それを“知っている”者は多いが、果たしてその内の何%の人間が、事故による大怪我をリアルに想定しているだろう。 どれだけの人間が、刃物を扱うということに常に緊張感を持ち、警戒を怠らず、心から気を付けているだろうか。 人は、危険と分かっているものに対しても、常に気を張っていられるわけではない。 だからこそ慣れから油断が生まれたり、危険を軽視し気軽に行動したりするのだ。 料理よりも失敗時のリスクが大きい車の運転などにおいても、常に気を張っている人間はそう多くない。 「ねえ、今どの辺?」 さて、ここで冒頭の質問に戻らせてもらおう。 殺し合いに対する危機感・警戒心。 これには、“現実味”が大きく影響を与える。 例えば今が戦時下で、こそこそと移動する三人組が斥候部隊だとしたら。 きっと彼らは『油断すれば死ぬ』ということを“知っている”だけでなく、“心から理解して、きちんと常時警戒する”ことだろう。 しかしこれは、平和な時代を生きてきたのに突然拉致をされたうえでのことである。 そのうえ拉致の方法は理解の範疇を超えていたし、危険なはずの殺し合いの舞台ではただの一度も戦闘になっていない。 出会ってすぐに初対面の人間と同盟を組めたというのもあって、危機感は自ずと薄れてしまう。 「もうすぐH-04じゃないかな」 だから、彼ら3人は、危機感を真の意味では持てていない。 上辺だけの言葉で危険と理解しているつもりになっているだけだ。 「結構歩いたな」 その証拠に、彼ら3人は付近に居たはずの高坂王子を発見しないままここにいる。 『五月蝿くするのは危険だ』という知識だけはあったため、それ故に口を閉じて歩き続けたのが原因だ。 そのくせ、長期の行軍の疲れもあり、周囲への注意が散漫だったことも手伝って。 遠い位置とはいえ、同じエリアにいた少年を、3人は見逃したままここまで来てしまっていた。 そして今も、黙りこくるのに飽きたという理由だけで、リスクのある会話という行為を始めようとしている。 「病院マダー?」 3人の目的地は、G-04にある病院。 遊園地に行こうという意見も出たが、遊び呆けてまた時間を無駄にする恐れがあるので、その意見は却下となった。 「ブーたれても、向こうからは来てくれへんで」 決め手となったのは、呆れたように声を上げる少年――鈴原トウジの一声だった。 この中で一番“非日常”に慣れており、非常事態への対応という点においては、最も優れているといえよう。 しかしトウジは、非日常を日常に上手く組み込んでしまっている。 非常事態が起こるまではのほほんと日常を過ごし、非常事態になったら素早く避難行動に切り替える。 常に危険と隣り合わせのはずなのに、普通に学校にも通うし、楽しく笑って過ごしていた。 その染み付いた癖により、トウジは未だ真剣に危機感を抱けていない。 現在の状況に対し、まだ“日常の延長線”の感覚なのだ。 だからこそ、ゲームセンターで遊んだり、思慮もなくあれこれ策を練るでもなく呑気に行軍をしている。 基本的に、危険に対して受け身なのだ。 「飽ーきてーきたー」 むう、と頬を膨らませるのは、紅一点の歳納京子。 体力が一番無いこともあり、先程から真っ先に口を開くのは彼女の役目となっていた。 トウジと真逆に、京子は非常事態に耐性がない。 ……まあ、ある意味『非常事態が日常デス』状態ではあるのだが、命の危機とは程遠い人生を送ってきた。 故に、非常事態というものに対し、リアリティを抱けないでいる。 とはいえ別に、ゆとり丸出しで「これは夢だいやっほーう!」「うっは死体www記念撮影イエーイwwwwww」となるほど愚かではない。 これが夢でも他人事でもないことはよく分かっている。 だからこそ友人達を心の底から心配しているし、不安にも思っている。 それに――シグザウエルを渡さなかったのも、この殺し合いを受け止めているからこそだ。 二人を信用していないわけではないが、どうしても京子はそれを渡したくないと思った。 理由は京子自身にもよく分からない。 理由が思いつかないのでなく、あまりにもたくさん思いつけたから。 それこそ、誰かを殺すためという嫌な可能性から、自分が仲間を救うのだというヒーロー思考な可能性まで。 そのようにあれこれ考えられるのも、真摯に殺し合いというものを受け止めた結果と言えよう。 ではリアリティの欠如は、何に対するものなのか。 それはズバリ、『己の出来ること』に対するそれである。 自分が人を本当に殺せるのか、という点も含め、自分には何が出来、何をすればここから脱出出来るのか、まるで見当がついていない。 だからこうして『とりあえず明るく振る舞う』ということしか出来ないでいる。 RPGで今の京子を例えると、目的もボスの存在も操作方法すらも分からぬ状態で、だだっ広いマップに放置されているようなものだ。 武器の効果もアイテムの効果も分からずに、どのコマンドでどの効果が出るのかすら分からない。 下手な行動をしてゲームオーバーになってもやり直しは効かず、下手なことが出来ないため、馬鹿の一つ覚えのように知ってる唯一のコマンドを延々と繰り返す。 そんな状況では、どんなに真面目に画面に向かっていても、真の意味で『真剣にクリアを目指してゲームをしている』とは言い難い。 ある種の思考停止ですらある。 それが、今の京子である。 (ああ、もう、黙っとってくれんかな……) 更に言うと、京子は友人達の行動すら読めないでいる。 会ったばかりのトウジの心中など察せられるわけがない。 状況を考えれば仕方のないことではあるが、それが京子の警戒心を一掃薄っぺらなものにしていた。 何が出来るか分からず、誰がどう動いているかも予想できず、とりあえず明るく振舞っているだけ。 命がけの行動にしては中身のない行動であり、空っぽの明るさは、少しずつトウジを苛つかせていた。 「まぁ、単調な行軍だったからね」 言いながら汗まみれの額を袖で拭う少年は吉川のぼる。 彼は京子とは違い、自分が何を出来る人間かよく理解していた。 凄惨なイジメによって無力さを知り、その後の成長で己に出来ることを知った。 無力な者でも思考をすれば強き者の助けになることも知っている。 だからこそ、昇だけは具体的に方針を考えていた。 病院に行こうと言い出したのも、人が集まりそうだということでのぼるが提案したのだ。 京子とトウジが特に具体的アイデアを出さないというのもあって、実質的な作戦指揮権はのぼるが握っていると言ってもいい。 「しかも、移動はスローペースだから……」 のぼるは、この中で一番“場慣れ”をしている。 担任教師の鬼塚英吉が巻き込まれた、数多くの「本当に平成の世の中学校の事件なの?」と聞きたくなるほどデンジャラスな事件の数々。 それらに多少なりとも、のぼるは関係していた。 常に受け身のトウジと違い、渦中に自ら飛び込んでいったこともある。 そして事件が起こる度、何とか解決することが出来た。 確かにのぼる自身には、この殺し合いを打破するようなスキルはない。 だがしかし、のぼるのクラスメートなら――あるいは、ここにはいない担任教師にだったら、きっとこの殺し合いを打破できる。 のぼるには、今まで事件を切り抜けてきた実績という、楽観視するに足る理由があるのだ。 故にのぼるは、この中で一番今の状況を楽観視してしまっている。 危機感はあっても行動できない京子や、楽観視はしていないがイマイチ身が入らないトウジとは真逆と言える。 のぼるは行動が出来るし、真剣に作戦行動を立てている。 だがしかし、のぼるの心の奥底には、楽観視と危機感の欠如が根付いているのだ。 「まぁ、しゃーないわ。確かに、この方が安全やしな」 しかしそれも悪いことばかりではない。 真に危機感を抱き、命の危険に過敏になりすぎてしまうと、何も出来ない可能性が生まれる。 100%安全な作戦なんて無い以上、1%は死の危険が付き纏うこととなる。 もしも危機感が強すぎたら、その僅かな死の臭いを前に、作戦を打ち出すことなど出来なくなっていただろう。 高確率で安全だと分かっていても、死の危険が少しでもあると実感してしまっては、行動に移すことは難しい。 ましてや、『自分の作戦のせいで仲間が死ぬ』という可能性まであるのだ。 サバゲー感覚程度に作戦を打ち出せる、今くらいで丁度いいのかもしれない。 「確かに、危険な人には遭わなかったけど――」 そんなこんなで作戦を打ち出していたのぼる。 彼は、明かりを灯さず移動することを提案していた。 明かりの使用は場所を教えて危険である、というのぼるの意見に、トウジはすんなり同意した。 逆に周囲が見えなくて危なくないかと京子は言ったが、それについてはのぼるがきっちり説明をして納得させた。 やや不便な場所であり中心部ではないとはいえ、ゲームセンターは市街地にある。 客を入れてなんぼであるため、当然ながら、舗装された道路の傍に立っていた。 ゲームセンターが動いていただけあって電気は通っているらしく、街灯がないわけではない。 明かりがなくても歩けないということはないだろう。 しかしどうやらこの会場は所謂田舎に近いらしく、街灯はかなり少ない印象を受けた。 その暗さを強調でもしているかのように、痴漢注意のポスターなんかが壁に貼り付けられている。 恐らく、殺し合いという環境のために、敢えて街灯が少ない市街地を選んだ――もしくは作り上げたのではなかろうか。 それでも、明かりを灯す程ではないという判断だ。 足元の不安定な山の中ならともかく、舗装された道路なら、明かりがなくともゆっくり慎重に歩けば大丈夫だ。 常に塀を背にすることで、襲撃方面はある程度絞れるというのも大きい。 更に言うと、田舎風味で一軒家が多いのも手伝って、奇襲を受けてもすぐさま誰かの家の敷地に逃げ込んで遮蔽物を得られるという好環境。 勿論誰かが門の向こうに隠れている可能性もあるのだが、それはゆっくり慎重に見ながら行軍することで、リスクをググっと低下させる事ができる。 罠の存在への警戒もあったので、どの道普通の徒歩ペースですら厳しい状況だったのだ、この状況はのぼる達には追い風といえる。 ――最も、罠なんて早々あるはずもなく、罠や待ち伏せへの警戒心なんてものは、比較的すぐに皆の心から消し飛んでしまったけれども。 「でも仲間を探さなきゃいけないし、あんまりコソコソしてもなぁ」 京子のこの発言も、長期間の何も起こらない行軍によって危機感が薄らいだ故の言葉である。 最初は『安全性がグッと高まる』という餌につられてのぼるの意見に従っていたが、 その安全性の魅力が低下し、仲間探しという欲求が保身欲求を上回ったのだ。 その発言に、トウジは内心深い溜息を吐く。 トウジの中で、もはや京子は完全に面倒くさい女だった。 「せやけど、一応納得の上決めたことやろ」 これまたのぼるの提案で、病院に着くまでは極力姿を隠して移動することにしていた。 暗闇の中突然遭遇した場合、パニックを起こされて望まぬ戦闘になってしまう恐れがある。 かといって明かりを点けて事前に存在に気付かせても、怯えていたら明かりから逃げるだけだろう。 それに銃やボウガンなど装備が充実した集団が堂々明かりを点けている姿は、人を誘き寄せようとしてる“乗り気”の集団に見えないとも限らない。 少なくとも、賢い者なら近付いては来ないだろう。 乗り気の可能性を抜きにしても、堂々明かりをつける阿呆の集団であり仲間にしても足手まといになります、とアピールするようなものだから。 そうなると、殺す相手を求める者を誘き寄せるリスクにリターンが見合わなくなる。 「病院についたらまた改めて人を探す方法を考えよう。 その頃には、もっと明るくなってるだろうし」 もう大分空も明るくなってきており、身を隠すのが困難になってきていた。 こちらが人を発見するのも容易くなってきたとも言える。 距離を置いて参加者と遭遇出来れば、危険はぐっと減るだろう。 恐怖に負けて混乱した者も、距離があったら襲い掛かるより逃げることを選ぶであろうし、そうなれば距離と保って追いながら説得する余地が生まれる。 いきなり襲い掛かられても、至近距離で遭遇するよりは逃げ切り易いといえよう。 何にせよ、明るくなってからが人探しの本番である。 「それに、病院やったら誰かしらおるやろうからな」 「うん。だから今は人に会えていないけど、そんなに悲観的になることじゃないと思う」 自分達がそうであるように、他の誰かも病院を目指すだろう。 のぼるもトウジもそんな風に考えていた。 病院なら部屋も多く薬もあり、立て篭もるには最適の場所だ。 誰一人病院付近でスタートした者がいないとは考えにくいのもあって、誰かしらがいるであろうという考えだ。 「問題があるとしたら、むしろ――」 ちらりとトウジが視線を落とす。 その先には、京子が手にしたシグザウエルが。 「誰かにバッタリ会ってもうて、その誰かが殺し合いをする気だった時やろ」 トウジ達三人は、運がいいことに全員が武器を持っている。 至近距離でしか戦えないトウジは防弾チョッキのおかげである程度大胆に近付けるし、京子のシグザウエルは装弾数が多く故障もしにくい優れ物だ。 よほどのことがない限り、負けることはないだろう。 ――なんてものは、夢いっぱいご都合主義な展開予想に基づいた意見である。 京子は最初その装備の充実っぷりから多少の大胆な行動は大丈夫だと語っていた。 しかしながらトウジの防弾チョッキの存在は一度撃たれたら気付かれてしまううえに、足や頭部はカバーしていない。 頭を撃たれたら終わりであることは勿論、普通の人間は足や腕に銃弾が掠るだけでも行動不能に陥る。 死ななきゃ平気でベストを尽くして制圧出来る、なんてことは机上の空論なのだ。 それに京子の銃の腕前についても多大な疑問が残る。 (やっぱり、試射をさせるべきだったんとちゃうかなぁ) どう考えても説明書を読んでいない京子に不安を感じ、トウジはのぼるにシグザウエルの試射をこっそり提案していた。 あわよくば京子が扱えないと分かり、自分に回ってこないかという打算もある。 しかしながら、その提案は昇によって却下された。 銃声が危険人物を呼びかねない、怯えた者を狂気に走らせかねない――理由は様々だった。 「だーいじょうぶだって。いざとなったら私が戦ってあげるから」 しかしながら引き下がった一番の理由は、『外した時、ムキになって当てるまでやられても困るから』である。 確かに、そうならないとも限らない。 明るく振る舞い場の空気を和ませる有難いキャラではあるが、トウジの目には幼稚な性格にも映る。 ……トウジの性格は人にとやかく言えるほど幼稚じゃないのか、ということは棚に上げておくとして。 とにかくそんなわけで、トウジも京子の試射は無しの方向性に賛同していた。 もっともそれも、どんどん気が抜けていく内に「やっぱりやらせてよかったのでは」に変わってきたのだけど。 「うん……期待してるよ」 微笑みをたたえそう言いはしたが、のぼる自身、実は京子を戦力としては数えていない。 空気が明るくなるよう、不安にさせないよう振舞っているだけということは、のぼるにもよくわかっている。 そして京子がのぼる達を仲間だと思ってることも、本気で皆のために戦うと言っていることもわかっていた。 しかし。しかしだ。 今は本気で言っていても、いざ本番になった時に同じ事を口にできるとは限らない。 リップサービスのように「仲間のために戦う」なんて口にすることに比べ、実際に命をかけたやりとりを仲間のためにすることが、どれほど難しいことか。 戦闘時に京子が動けないとしても、のぼるにそれを責める気はない。 仕方のないことであるし、それにきっと単なる臆病故でなく、京子の持つ優しさ故のことなのだと思うから。 とはいえ、勿論戦闘に参加してくれることに越したことはない。 本当に殺し合いに乗っている人間が相手になった場合、説得するにしても逃げるにしても、ある程度相手の攻撃を封じなくてはならないだおる。 その際に役立つのはやはり銃。 下手に命中精度が高くて命を奪ってしまっても京子が心に傷を負うだけなので、全然当たらないくらいで丁度いい。 トウジは京子の銃の腕を心配しているようだが、のぼるに言わせれば銃なんてものは音で威嚇して相手の攻撃を封じてくれれば十分だった。 なので、戦力としては期待していないが、だからこそ抑止力としてはそれなりに期待をしている。 「ほんま、頼んだで……」 トウジにしたら、やはり一番の戦力は銃であるシグザウエルだ。 だからこそ、前線に立たさねばと思っている。 そしてそれ以上に、扱いを誤ると悲劇を招いてしまうことを考えており、京子にちゃんと扱いを叩き込まねばと考えていた。 トウジとしては、どこかでちゃんと説明書を読み込ませたい所である。 (ホンマはのぼるに持たせるんが一番なんやろうけどなぁ) だがしかし、のぼるにとって一番頼りになるのは、自分の持つクロスボウガンだと思っている。 元々射撃が得意というのもあって、のぼるはクロスボウガンの扱いには自信があった。 射的ほどの精度は望めないが、銃と違って発砲音が鳴らないからと、少し時間を取ってもらい試射をしていたのが大きい。 トウジから提案されたシグザウエルの試射を受け、一応自分も試射をしようと思い立った。 その後やや空が明るくなった頃に、のぼるはクロスボウガンの試射を行なっている。 狙ったのはゲームセンターで取ったスナック菓子の袋。 最初は掠めるだけだったが、3回程撃った後はほぼ狙い通りの場所を射止められるようになっていた。 そのためトウジの中で、のぼるこそが銃を持つべきという考えになっているのだ。 ちなみに、のぼるが試射するのを見て自分も銃を試射したいという京子に対し、銃声などの要因をあげ止めさせる役はトウジへと押し付けられていた。 「まっかせなさい! ほら、なんかこう、構える姿も様になってるじゃん?」 「おわあああああ! アホ! こっち向けんなっ!」 片目を瞑り銃を掲げる京子。 持ち上げられた銃口の直線上から、トウジは転がるようにして逃げ出した。 その様子を、くすくすと笑いながらのぼるが見守る。 「笑い事ちゃうで、まったく……」 「だーいじょうぶだって、私は仲間を撃つようなヘマを犯したことは人生で一度もないから!」 「一回も撃ったことないからやろ! 0戦0勝を無敗とは言わへん!」 慣れないシリアスムードと張り詰めた空気での移動などに疲れ切ったのだろう。 京子達のやりとりはどんどん騒がしくなってきたが、のぼるは特に止めなかった。 もう空も明るいし、自分が周囲を警戒すれば問題はないだろう。 何より暗く沈むよりも、このくらい生き生きした顔をしてもらっている方が、のぼるとしても嬉しいから。 「おっ、何かある」 漫談をしながら移動を始めて数分。 スピードを上げ先頭を行っていた京子の視界に飛び込んだもの。 それは―― 「……なんや、あれ?」 「あれは道の駅かな」 「……みちのえき?」 住宅街を抜けて、建物がまばらになってきていた。 その途中で、一際開けた所を見つけたのだ。 そこは巨大な駐車場のおかげで開けており、今まで選んで通ってきた道と比べ遮蔽物が少ない。 勿論車は止まっておらず、だだっ広い広場のようになっていた。 その駐車場の向こうには、綺麗そうな公衆トイレやレストランなどが見える。 「まぁ、簡単に言うと、一般道路のサービスエリアみたいなものかな」 「へぇ~」 「詳しいなァ、自分」 トウジも京子も、生活圏は広くはない。 当然免許も持っていないし、道の駅に触れる機会などなかった。 のぼるの持つ比較的どうでもいい知識に感心しながら、いざという時隠れられる移動経路を探し、目線を忙しく動かす。 「……誰か居るかもしれないし、ここは」 残念ながら、大きく迂回しないと遮蔽物を使って移動することはできそうにない。 さてどうするかと昇が顎に手を添えた、まさにその時。 「突撃ー!」 シリアスな顔で呟いた後、一点獰猛な笑みを浮かべ、京子が駐車場を横断するように走り出す。 これだけ開けた場所になると、見られずに移動するのは難しい。 特に正面の建物からは駐車場が見渡せるため、この近辺で立て篭もるなら、あの建物を選ぶだろう。 そしてそこに誰かが居るとしたら、もう発見されることは不可避である。 ならばいっそ、堂々と姿を見せた方がいい。 そう考えての行動だ。 「アホ! なにやっとんねん!」 慌ててトウジが後を追い、苦笑を浮かべてのぼるが続く。 気持ちだけが空回りしているような状況の京子にしたら『自分に出来ることは明るく振る舞うことと他人を信じることだけ』であり、 止まっていても仕方のない状況で自分が突撃をかますのは妥当な選択肢である。 しかしトウジにしてみたら、京子の行動は無謀な自殺行為でしか無い。 のぼるにとっては、京子がこういう行動を取ることは、ある程度想定内だ。 「うおおっ、トイレ超綺麗っ!」 立ち止まるよう促す言葉も、命を狙う銃撃もない。 結局京子は店の近くまで辿り着き、そのまま清潔感で溢れる公衆トイレに吸い込まれていった。 思わず後を追いかけたトウジの目に、個室の扉で満たされた空間が飛び込んでくる。 そこが男子禁制の場所と気がつくなり、慌ててそこから抜け出した。 「はは……まあ、会ってから、一度も行ってなかったしね」 その様子をのぼるは笑顔で見つめる。 もうのぼるは公衆トイレを通り過ぎレストランの様子を伺っていた。 トウジの記憶では個室の扉が一箇所だけ閉まっていたので、京子は今のぼるが予想した通り“今まで出来なかった休憩”をしているのだろう。 待っている必要もないと考え、トウジはのぼるのチェックしていない適当な店を見ることにした。 そして。 「…………!」 あるものを見つけると、血相を変えて店を飛び出した。 その際に棚で足をぶつけて音を立てるも、気にしている暇はない。 先程あれだけ目立って駐車場を横断したのに何も起こらなかったのだ、今更物音ひとつで一気に窮地にはなるまい。 「……何かあったの?」 トウジが向かった先は、のぼるのいるレストランだった。 厨房で使えるものがないか物色しようとしていた昇は、肩で息をするトウジの様子に、並々ならぬものを感じ取る。 「ひ、人や……」 呼吸を何とか整えようと自分の胸ぐらを掴み、ごくりと唾を飲み込む。 そして、告げた。 「人が、倒れとる……」 その言葉を聞き、のぼるは厨房を後にする。 言葉にせずとも、人が倒れた現場に行くのであろうことは予想出来た。 トウジが昇の前に行き、人を見つけた店の中まで誘導する。 そこは、大きな売店だった。 特産品と思しき野菜や銘菓などが並んでいる。 その店の奥、外からは死角の隠れやすそうな場所に、人の足が見えていた。 「……死んどるんか?」 「確かめないわけには、いかない……よね」 あれだけ騒いでも、反応一つなかったのだ。 少なくとも、意識を失っている可能性が高いだろう。 そして死んでいる可能性は、何よりも高い。 血が流れてきていないので、斬殺のような血まみれグログロの死体というわけではなさそうだ。 その事実が、確認の後押しをしてくれる。 「これは……」 そこには、少女が倒れていた。 ショートカットの美しい顔立ちの少女。 その顔はとても綺麗だった。 殺害された体にしては、あまりにも綺麗すぎるくらいに。 「……生きとる、んかな」 「一応、確認してみようか……」 とはいえ、絶対生きていると断言は出来ない。 何せ殺し合いが始まってもうすぐ12時間が経つ。 誰かが死体を見つけ、汚れを拭い去ってやり、寝かせてやるには十分な時間があったというわけだ。 「きれいな顔してるだろ……死んでるんだぜ、それ」な状態でも別段おかしくはない。 ……それにしては、寝かせ方があまりに乱暴すぎる気がするが。 「でも、どうやって……まさか、あれか。揉むんか?」 息をしていれば、胸が上下しているはず。 しかしながら、少女の服はごく普通のセーラー服。 幸いなことに京子のものと同じではない、一般的な制服だ。 勿論胸にジャストフィットして「タイツかよ」って程にバストを強調したりしてないし、僅かな呼吸で胸が上下しているのが分かるような衣装ではない。 普通の制服とは乳首が浮き出るような素材では出来ていないのだ。 微振動を見てわかるわけがない。 「そんなことをしなくても……」 のぼるは、矢が刺さって穴が開いたスナック菓子の袋を取り出す。 そしてギザギザに沿ってスナック菓子の袋を開けた。 袋を縦に切り開き、端っこを切り離す。 そして出来た細い切れ端を少女の鼻の穴に当て、呼吸でぴらりとめくれ上がるかを観察する。 ある程度予想していた通り、切れ端は一定のリズムを刻んでめくれ上がった。 「とりあえず、起こしたるか……?」 やや残念そうに少女の胸元を見ながら、トウジが言う。 しかしのぼるは、静かに首を振った。 そして、すっと立ち上がると、クロスボウガンを少女に向ける。 「な、お前……!?」 驚愕に目を見開くトウジに、のぼるは告げた。 「この人……殺し合いに、乗ってるよ」 「なんやて!? せやけど、この娘は被害者なんじゃ……」 少女の倒れ方からして、単なる昼寝とは思えない。 どう考えても、この少女は襲われた側である。 「彼女が本当に殺人鬼に襲われたのなら、今生きている理由がないんだ…… 環境的にも命からがら逃げ切れました、というのは不自然だし……」 崖の下とか、海岸線とか、そういった場所で倒れているなら分かる。 襲われて、イチかバチかで飛び込んで、一命を取り留めた――そんな理由付けが出来るから。 「もしかしたら、殺せたと思い込んでたのかもしれへんで」 「だとしても、マシンガンを置いていくなんて変だよ。 殺し合いの場で、他の人達を皆殺しにしようと考えた人が、マシンガンを置いて行くかな」 それに、エグい発想であるし、今挙げた事実だけで納得してもらえるだろうから言わなかったが、 マシンガンが手に入ったら、とりあえず少女の頭にでも接射し、確実にトドメをさすのが普通だろう。 マシンガンと少女――その両方を放置する合理的な理由などない。 少なくとも、のぼるの中では。 「それに、別に人殺しがいるなら、ここを出る理由はないんだ」 この道の駅は、前述の通りだだっ広い駐車場に面しており、接近する者の存在に気が付き易い。 一方で今いる店は棚も多く、こちらの身を隠しやすい。 店の中には遮蔽物が多いわけだから、銃撃されても店の裏手まで移動が出来る。 裏口に内側から鍵をかければ背後から襲われる心配も薄く、かつ自分は逃走しやすいという、願ってもいない場所なのだ。 拠点にするなら病院に匹敵するであろうこの地を、早々に立ち去る理由は何もない。 「確かに、まぁ、生き残ることを考えたら、ここに居るべきやろうなぁ」 トウジとのぼるは、殺し合いに乗った人物に会っていない。 それ故に自分の想像力の範疇でしか、人物像を想定出来ない。 理論的に考えようとすればするほど、自分達の常識でしか考えられない。 「移動する必要があるとしたら、人や物を探してる人ってことになるよね」 のぼるもトウジも、ここに来てから一貫して『死にたくない』と思っている。 きっとそれは誰もが同じであろうと、自然に思い込んでいた。 だから、殺し合いに乗ってしまう人は、恐怖に負け、“生きるために”人を殺してしまうのだと。 故に彼らは、見落としてしまう。 『殺したいから殺す』という、狂気に染まった動機による殺人鬼の存在を。 故に彼らは、思い込んでしまう。 『死にたくないから殺人を犯してしまう人』=殺し合いに乗った参加者が、生存率を高めてくれるこの建物を出るはずがないと。 「なるほど、ワシらがそうしたように、か……」 ゲームセンターも、遮蔽物が多いという点において、それなりに優れた拠点ではあった。 カウンターに身を潜めて入り口を監視することは出来るが、中に入られてしまうまで接近する者に気付けないという欠点はあったが。 それでもそれなりに身を守れるあの場所を出発したのは、三人ともが『死にたくない』ではなく、もっとアクティブに『生きて帰りたい』と願ったからだ。 そのために、必要な仲間と必要な道具を求めて移動を開始したのだ。 「そうなると、考えられるのはひとつ」 「――返り討ち、か」 怯えた参加者がもみ合いの末柱に頭をぶつけさせた――そういったケースならば、マシンガンが放置されていることにも説明がつく。 恐らく気が動転し、殺してしまったと思い込んでマシンガンを回収もせずに逃げ出していったのだろう。 そのケースなら、マシンガンの傍で人が気絶している理由にも説明がつく。 「命までは奪ってないし、マシンガンも置いてってるから、この人を突き飛ばしたせいで覚悟を決めた、なんてこともないと思う」 さて――突然ではあるが、この話は所謂“神の視点”で語られている。 ここ、地の文は、各々の心中を読み透かし、読者に伝える役割も担っている。 なので、トウジやのぼるの知らぬ情報も明かさせて頂こう。 賢明な読者諸君はとうに気付いているであろうし、これ以上伏せ続けても何の意味もないことだ。 ――倒れた少女・中川典子は、殺し合いに乗った少女ではない。 危険人物という点では、彼女を放置し走り去った常盤愛の方が該当するだろう。 彼女は皆殺しを企んではいないが、個人的嫌がらせや私怨などで、典子に人を殺すよう脅していた。 のぼるやトウジは、参加者との遭遇という場面で、脳をフル回転させてはいる。 だがしかし、彼らはまだ、本当の意味で『理解の範疇を超える者』に会っていない。 漠然と殺し合いを命じてくる、正体不明の現実味がわかない者がせいぜいだ。 だからこそ、日常の延長線で物事を考えてしまう。 ニュースで目にする殺人事件の動機や、自分がなっていたかもしれない狂気の姿くらいしか思い描けない。 脅して人を殺させるために放置する、という残酷な手口に思い至れない。 マシンガンを必要としないほどの戦闘力を有する者の存在には至れない。 「それで――どうするんや」 どうする、というのは、勿論典子のことである。 トウジ達から見れば、典子は真っ黒な存在。 倒すべき相手ではある。 「……殺すんか?」 殺す。 口にしたくなかったその単語を先に言ったのは、比較的命の危機に馴染みがあるトウジの方。 生き残るため、相容れない殺人鬼は倒す必要がある。 そのことを、相容れない使徒との戦いを見たことで実感しているトウジだからこそ、その単語を口に出来た。 とはいえ、頭では分かっていても、それをすぐさま実行できるわけではない。 相手が気絶していて無抵抗となれば尚更だ。 「……いや……まだ、説得の余地はあるかもしれないし……」 前述の通り、のぼる達の中で殺し合いに乗った人間とは、恐怖に負けて保身に走ったものである。 すでに人を殺しているためもう後戻りは出来ない、と覚悟完了されてしまったケースを除けば、説得の余地があるという考えだ。 保身最優先なわけであり、生殺与奪権を握れば、おとなしくなるだろう。 「だからとりあえず、ロープか何かで拘束しようと思う。 それから起こして、話を聞こう」 「そうやな、それがいいか……」 ロープがないか、トウジが辺りを見回して、気付く。 壁にかけられた古びた時計。 その針が、間もなく六時を告げようとしていることを。 「もうすぐ放送やし、起こすのはそれからやな」 「うん。でも、さすがに重要事項だから結構大音量で着信音とか鳴ると思うし、それで起きちゃうかも」 「んじゃ、最悪ワシのシャツででも後ろ手に拘束するか?」 トウジはのぼるとクロスボウガンを見ながら。 のぼるは典子を見ながら。 それぞれ真面目に話し合っていた。 真面目に、集中して、話し合っていた。 故に、背後に迫っていた少女には気が付かない。 背後に迫った少女が、昇達の背に打撃を食らわせようとしていたことにも。 叩かれるまで、気が付かない。 「たっだいまー! いやすごいよここのトイレ!」 京子は、謎の感動を覚えていた。 広くて綺麗なだけでなく、ここのトイレはオシャレな内装をしていた。 無駄に写メを撮ったりして、戻るのが遅れたのだが…… 棒立ちで話し込む二人の背を見て、慌てるようなことは起こらなかったのかと胸を撫で下ろした。 そして、トイレが長すぎたことで、変なことを想像されても嫌だなあと思い至る。 とりあえず長期トイレに篭っていたと受け取られかねない事への気恥ずかしさを誤魔化し、 明るい空気でトイレが綺麗で写メってたことを伝えようと考え、駆け寄るなりのぼるとトウジを驚かせようとその背中を叩いた。 「わっ!?」 不意をつかれ、のぼるもトウジもバランスを崩す。 トウジは何とか踏みとどまるも、のぼるはそのまま膝を着くように倒れた。 その際腕が持ち上がり、クロスボウガンの先が典子から商品棚へと切り替わる。 倒れた拍子に、クロスボウガンが発射された。 商品棚に並んでいた野菜類に深々と突き刺さり、音を立てて野菜の山が崩れ落ちた。 崩れ落ちた野菜の山が、典子の顔面とのぼるの頭に降り注ぐ。 「……んのアホォ!」 驚かされたこともあり、ついついトウジは京子を怒鳴りつけてしまう。 今まで京子に感じていた不満が爆発したという側面も否めない。 その怒声に京子はビクリと震える。 予期せぬマジギレを喰らい、若干の混乱に陥った。 そして視界に、倒れた少女が映る。 「だ、大丈夫!?」 クロスボウガンの存在を意識していなかったため、京子はイマイチ何が起きたか理解していない。 だからこそ、トウジの声のトーンに、漠然と『まずいことをしてしまった』と思わされていた。 そこにきて、視界に映るは倒れたままの少女。 自分が原因なのか、最初から倒れていたのか分からない。 ただ漠然と『不味い事態』ということを感じ取っていただけに、少女が危険な状態なのではと思わされた。 そして思わず顔の上の野菜をのけ、心配そうに肩を揺する。 「ばっ、こいつは!」 それを見てトウジは焦る。 何せ、起こそうとしてる典子は、トウジにとっては殺し合いに乗っている危険人物。 突きつけていたボーガンの矢はもうないわけで、この状況で起きられたら不都合しかない。 慌てて京子の肩を引っ掴む。 「ん……」 しかし、手遅れだった。 典子は確実に目を覚ます。 それを悟り、トウジはそのまま肩を掴んだ腕を思い切り引いた。 「ひゃっ!?」 後ろに引っ張られるままに、京子は典子から離される。 そのまま後方に放り出され、お尻から着地した。 別に、京子が憎くて乱暴にしたわけではない。 むしろ逆。 面倒な女と思いながらも、仲間と認めていたからこそ、危険から遠ざけるべく必死に引き離したのだ。 「クソッ!」 気絶した少女に鎌を突きつけることは、良心が咎めていた。 だがしかし、動く殺人鬼が相手となった以上、そんなことを気にかける余裕はない。 殺すつもりはなかったが、鎌を突きつけおかしなことをされないようしようとし、鎌を手に典子に迫る。 「――――――ッ!?」 だがしかし、それより早く、典子は目を覚ました。 視界に映るは、鎌を手に必死な顔で迫りくる男。 不意を突かれはしたが、トウジの動きは直線的。 典子の予想以上に速い反応にトウジも不意を突かれたというのもあり、典子はトウジの腕を取った。 鎌を捨てさせるべく、相手の手首を捻りあげようと体を動かす。 その視界に、マシンガンが飛び込んだ。 腕を軽く動かした際、勢い余ってトウジはバランスを崩した。 そのまま典子の脇へと倒れ込もうとしている。 それを確認し、典子は鎌を奪うよりもマシンガンの回収を優先した。 あれを取られては死は避けられぬと判断しての行動だ。 「動かないで!」 マシンガンの銃口をトウジに向けようとしたその時、突如として声が上がる。 そこで典子は初めて相手が一人でないことに気付く。 視線を声の方に向けると、のぼるがクロスボウガンを構えていた。 「……そっちこそ、動かないで」 素早く手首を動かし、銃口を完全にトウジの頭部へと向ける。 典子がトウジの命を、そしてのぼるが典子の命を握っていた。 訪れた膠着状態の中、典子は必死に頭を動かし状況把握に努める。 「ちょ、ふ、二人共……」 自分が驚かせてからのほんの数十秒で、事態が急変してしまった―― 京子もまた、事態をイマイチ飲み込めないでいる。 ただ、下手に動くと仲間の命を失いかねないことだけは分かり、やはり動けないでいた。 (……二人、ってことは……) 京子の言葉で、典子は京子達三人が、一緒に行動していたことを推察する。 命の握り合いを三人が演じているのに『二人』と口にした理由など、他にはない。 “仲間であるため説得しやすい人間”にまず落ち着くよう呼びかけようとし、その対象が複数であるため『二人共』などと口にしたのだ。 (どうしよう……) 典子の中で、平和的に解決することはそこまで難しいことではない。 銃をおろし、素直にごめんなさいと謝る。 不快感は持ち続けられるだろうし、信頼を得て協力を仰ぐことは難しいと思われるが、それでも命は助かるだろう。 典子から見て、三人――特に京子は、殺し合いに乗っていないと判断できる人物だ。 手を取り合うならまず銃を下ろし、ゆっくり信頼を得るべきだ。 (秋也……) だが、しかし。 もし――もし、だが――先程“白井黒子”に脅された通り、男を殺して回るのなら。 七原秋也を生かすため、非道に落ちるとしたら――ここで銃を下ろすわけにはいかない。 (私は、どうしたら……) 典子の不幸。 それは、自力で目を覚ますことが出来なかったこと。 おかげで考える時間がなかった。 冷静に考えていたら、きっともっといい方法が思い浮かんだかもしれない。 だが現実は、御覧の有様である。 銃を向けられ、“勢いで外道に落ちる”ための準備が整ってしまっている。 そして何より、死の蛭の効果について、ゆっくりと思い出せなかった―― それが、典子の行動を縛り付けた。 死の蛭は生物である以上、典子の動きを把握している。 それでは果たして、死の蛭には“命令を下す者”への通信手段が存在しているのだろうか。 死の蛭が全てを監視していて、迂闊な行動を取った途端典子の命を奪い、秋也を危険に晒すことはないだろうか。 死の蛭についていた説明書を思い出そうとしても、色々なことがありすぎてどうにも上手くいかなかった。 そうして動きを止めていたのは数秒の出来事だろう。 だがその時間は、大人しく銃を下ろす気はないのだと思われるには十分すぎる時間だった。 のぼるが、トウジが、時間の経過と比例して敵意を剥き出しにしているのを肌で感じとる。 弾みで撃たれないように、典子はゆっくりトウジへと空いた左手を近付ける。 警戒はするものの、何も持っていないのを見、トウジものぼるも動きを見せない。 状況がジリジリ悪化していくことは感じているが、マシンガンを持たれていては勝算がある場合以外動けないだろう。 ましてやクロスボウガンは連射が効かない武器だ。 覚悟を決めて一撃で命を奪い取らない限り、返り討ちは免れない。 そう考えているだろうと典子は考え、ゆっくりとトウジを掴み手前に寄せる。 これで典子がトウジを盾にする形となった。 だがしかし、そこで終わり。 典子はそこから下衆な行為に出るほど覚悟を決められていないし、かといって銃を下ろすこともできない。 トウジも昇も典子に隙を見いだせないでいるし、京子はただオロオロとするだけだ。 そして携帯が一斉に鳴る。 放送を告げるアラームだ。 膠着した場が、動き始める。 (後編)
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ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/266.html#id_542badf7 たとえば、#news(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 愛媛FC、サポーター130人とゲームで交流深める - 愛媛新聞 可愛い見た目で超絶難度なゼリー融合パズルゲーム「ユウゴウパズル」プレイレビュー - GIGAZINE 好評につき第2弾開催!オンライン・クレーンゲームで自宅から全国を旅する、全国ご当地ラーメンフェア開催:時事ドットコム - 時事通信 今売れてるPC対応ゲームコントローラーTOP10、ロジクールのゲームパッドが首位 2021/12/11 (2021年12月11日) - エキサイトニュース 今売れてるPC対応ゲームコントローラーTOP10、ロジクールのゲームパッドが首位 2021/12/11(BCN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【リサーチ】『あなたが最も期待する2022年新作ゲーム』結果発表 - Game*Spark ゲームの国民的ザコキャラといえば?3位「ワドルディ」、2位「クリボー」、気になる1位は.....?【アンケ結果発表】 - インサイド ステルスホラーゲーム『Hello Neighbor 2』発売延期。予約購入者向けクローズドベータテストを2022年4月7日から実施へ - AUTOMATON 全長500キロのリアル「人生ゲーム」3日間かけて完走 2万人から選ばれた参加者、多彩なアクティビティに大満足|まいどなニュース - 神戸新聞社 元DICEの開発者たちが手がける新作ゲーム『ARC Raiders』はSFテイストのCo-Op型TPS - IGN Japan マイクロソフト、Xbox独占ゲームのiPhone向け提供をアップルに断られたと判明 - Engadget日本版 【ReAL-e】もう誰も信じられない!? ダマし合いゲーム「Among Us」 GAG・ひろゆきとプレイ! - GAMEクロス miHoYoの女性向け恋愛ミステリーゲーム『未定事件簿』、12月11日よりイベント『遊園すごろく』開催!左京静真(CV 諏訪部順一)、和泉景(CV 石川界人)、森月黎(CV 福山潤)の限定カード登場! - PR TIMES 話題沸騰中のNFTゲーム”クリプトモン”が待望の新フェーズへ。12月中旬にリリース決定! - PR TIMES 【ふるさと納税】ゲームファン・アニメファンも注目! ふるさと納税のおすすめ返礼品をピックアップして紹介(ファミ通.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース Switch『PUI PUI モルカー』のミニゲーム“モルサッカー”が無料アプデでオンライン対応予定 - 電撃オンライン 今季12回目のワンスコアゲームで「また楽しい夜になった」とバイキングスHCジマー - NFL日本公式サイト 『スマブラSP』桜井政博氏、話題の2人専用ゲーム『It Takes Two』を「ひとりでできなくもない」とコメント。しかし常人にはできない - AUTOMATON 声優・夏川椎菜さんの3時間ゲーム実況生放送が本日(12/11)19時より配信! 『バイオハザード7』などのゲームに挑戦!! - ファミ通.com ゲーム主将MF畠中健心「自分にベクトルを向けて…」。神村学園は選手権で際の勝負をモノにできるチームに(ゲキサカ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 異色のゲーム対談が実現! 野田クリスタルさんと桜井政博さんがSpotifyのゲーム音楽対談企画でゲーム制作の裏側や時代背景を語る【前編】 - ファミ通.com ゲーム配信の確かな技術が光る にじさんじ・夜見れなの次なる挑戦 - リアルサウンド 【Tips】PS4リモコンとiOS15で15秒間のショートゲーム動画を撮影する方法 - iPhone Mania 実行委員長は高校生。石垣島でSDGsシンポジウムとゲーム大会 - Forbes JAPAN 誰も教えてくれない“ゲーム仕様書の作り方”を伝授!1/26(水)「ゲームデザイン塾 仕様書ビルドアップ講座」を開講!! ~企画のプロ集団・アッパーグラウンドが監修~:時事ドットコム - 時事通信 ソニーのゲーム部門、「ゴッド・オブ・ウォー」開発の米社を買収(ロイター) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 奥村茉実、「琥珀色の遺言」の中盤はもうみんな怪しい! - PC Watch 「イカゲーム」が米国のトップ10から脱落、公開3カ月で初 - Forbes JAPAN 社会人向けゲームイベント“ゲムコミュ #1”が2022年1月28日に渋谷で開催 - 4Gamer.net 選択肢を間違えたら即サンバ 中毒性たっぷりの「マツケンサンバ」ゲームが話題沸騰中(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『ワン ハンド クラッピング』ゲーム内容&最新トレーラー公開。声や歌でキャラクターを操作するパズルアクションゲーム - ファミ通.com ゲームの時も一緒だニャン……愛猫がポッケに入るパーカを発売 - 朝日新聞デジタル 任天堂、ゲーム開発拠点を拡張 旧本社跡地にビル新設 - 日本経済新聞 4Xリアルタイムストラテジーゲーム『Dune Spice Wars』発表。フランク・ハーバート氏のSF小説の金字塔『DUNE』をゲーム化(電ファミニコゲーマー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「Star Wars」ゲームの新作、外山圭一郎による新作ホラー『野狗子 Slitterhead』などThe Game Awards 2021発表まとめ(IGN JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「リネージュW」プレイレポート。オンラインゲーム黎明期の名作が,世界中のプレイヤーと遊べる新作スマホゲームとなった - 4Gamer.net かわいいモンスターを収集するポップなオープンワールドゲーム『ドケビ』の新たなPVが公開。テーマソング『ROCKSTAR』にあわせてキュートなキャラクターたちが生き生きとしたダンスを披露(電ファミニコゲーマー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』ゲーム内イベント「MOREMOREMakingXmas」、「聖夜のチェックメイトガチャ」開催! - PR TIMES 『ワンダーウーマン』の新作ゲームが発表。『シャドウ・オブ・モルドール』シリーズに実装されたNPCの人格形成システム「ネメシスシステム」を搭載(電ファミニコゲーマー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース IGN JAPAN ゲームオブザイヤー2021 今年のベストゲームTOP 10 - IGN Japan バトルロイヤル型ゲームの火付け役『PUBG BATTLEGROUNDS』2022年1月12日から基本プレイ無料に。既存ユーザーにはアップグレード機能を無料で提供(電ファミニコゲーマー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース レトロアニメ風ゲーム『Cuphead』、待望のDLCは2022年6月30日に配信 - Engadget日本版 Xperia 1 IIIのゲーム支援機能が半ばチートレベルで凄い|ベストバイ2021 - Engadget日本版 「Google Play ゲーム」がWindows PCに対応 2022年から提供予定 - - ITmedia PC USER 上村さん、いつまでも飽きないゲームはできますか?|サイカルジャーナル|NHK NEWS WEB - NHK NEWS WEB Epic Gamesストア、来週『シェンムーⅢ』ほか13本の無料ゲーム配布の噂 - Engadget日本版 独ゲーム会社、中国を「西台湾」と表記…「中国市場は必要ないのか」猛反発(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 横浜ランドマークタワーで「パックマンのゲーム博物館」80年代ゲームの展示や実機が遊べるゲームセンター - Fashion Press テンセント新作PvPvEゲーム『SYNCED Off-Planet』敵に焦点を当てたトレイラー公開【TGA 2021】(Game Spark) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 新作対戦格闘ゲーム『KOF XV』の第2回オープンβテストが、PS5/PS4を対象に12月18日から開催決定!(アスキー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『スーサイド・スクワッド:キル・ザ・ジャスティス・リーグ』ゲームプレイの様子も確認できる最新映像が公開【The Game Awards 2021】(ファミ通.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ウエスタンスーパーヒーローACT『Evil West』ゲームプレイトレイラー公開【TGA 2021】(Game Spark) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース マトリックス新作ゲーム『Matrix Awakens』の新映像が公開。PS5、Xbox Series X|S向けのダウンロードも開始【The Game Awards 2021】 - GameWith シリコンバレー101(903) Appleに忖度? 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まとめ用にとっておいたコメントです。 文章でまとめてくれるとありがたいです。 Gissy 仲仔とは……「仲イイ子」の略であり、雑誌から広まったとされる造語。2年程前から女子中学生を中心に様々な用途で使われている。 a.あえて言葉に重みを持たせない気軽な関係を匂わせたい意図がうかがえる c.「仲仔」っていう言葉を通して親密であるかを確かめ合う言葉 f.お互いの関係を認識して関係を良い方向へ持っていこうとしてるんじゃないか g.言葉に発して相手に伝えるって言うことは心理的に感じなくてもそういう拘束力が発生する h.「なかよし」だとダサいけど、「仲仔」だと言い易いし、仲間意識も強調できる i.仲仔って言われて「は!?あんたと仲仔じゃないし!」とか言えないだろ j.「仲仔」はより仲がいいことをアピれる(アピールできる)ダチ語(友人との話し言葉) k.大人の女性は理性が大きく働くが中学生は大人張りの精神で奔放に動く l.一人ぼっちは嫌だけど、密着しすぎるのもうざいから、こういう中途半端な言葉で中途半端な連帯感を要求しようとしてるんじゃ?=つかず離れずの関係 m.好かれたいんじゃなくて、嫌われたくないから生まれた言葉 n.自分を守るために出来た言葉な気がする o.理性っていうか道徳とか社会性が足りないって感じ??? p.「仲仔」という単語で綺麗にみせてるな? q.年齢があがるにつれて言葉にだすのはなくなるのか r.仲仔=友人関係を円滑にするための、潤滑油=ツール・アイテム s「仲仔」は「普通」並みに非常に曖昧な言葉だというのは解った。 s2.言葉のトレンドなんだろうな t.「友達」を使うのが怖いのかな?裏切りとかされても許されるって印象を受けた? u.「仲仔」って言葉に「特定の人物達だけ」が知ってる隠語、って感じの連帯感がある? v.仲仔=曖昧にして、色々な利用方法があって、それは人間関係をたやすく崩せる w.お互いの友情もどきをある程度固めるための言葉も一理あるとおもう x.結果的にイジメに発展しやすい環境が出来上がるのか y.仲良くなるための一歩踏み出す言葉としては有りだよね z.中学生の精神、環境、思春期、社会環境への適応なんかのバックグランドから使いやすい言葉としてでてきてるのかも @.仲は良いけど苦楽を共にする覚悟はないってことだろ仲仔って
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冷たい病院の時は動きだす ◆j1I31zelYA カツン、カツン、と。 薄い緑色をしたリノリウムの床を、少年が歩いていた。 塵ひとつない床は、一歩ごとに冷たい反響を返す。 ゆっくりと廊下をあるく彼は、一人の少女を抱えていた。 お姫様だっこの形で優しく抱きかかえられた少女の顔は紙のように白い。 誰の目にも、事切れていると分かる。 それは、物ごころついた時から少年のそばにいた、幼なじみの少女だった『もの』。 そして、これからもずっと一緒にいられたらと、淡い夢を抱いていた、大切なひと。 力を失い、重たくなった遺体を軽々と抱き上げ、ゆっくりと階段を降りていく。 まるで、少女はただ眠っているだけだから、起こさないように気を付けなければ、という風に。 少年――浦飯幽助の表情はとても静かで、その瞳は、とても虚ろな瞳だった。 瞳の焦点が合っていないのとは違う。 しっかりと焦点が合っているのに、どこを見つめているか分からないような、そんな恐怖を与える瞳だった。 さながら、『空っぽの瞳』ではなく『中身を無惨にえぐり抜かれた瞳』とでも表現するべきか。 カツン、カツンと一定の間隔をあけた足音は、迷うことなく『非常口』の、緑色のランプが示した方へと向かう。 病院の見取り図をいちいち覚えてはいなかったが、 目的としている場所は、たいてい裏口や搬入口近くに造られていると聞いたことがあった。 やがて、幽助は探していた部屋の前で立ち止まった。 簡素な白いプレートには、『霊安室』と、書かれていた。 重たいその扉を開けると、真っ黒い闇が彼らを出迎える。 そして、少年は声をかける。 少し前に『もの』になった少女へと。 「殺風景なところでごめんな、螢子…………全部終わったら、絶対に迎えに来てやるから」 優しく語りかけられた腕の中の少女は、穏やかな顔で瞳をとじたまま。 その、あたかも未練など無さそうな安らかさに、幽助の瞳が刹那、揺れる。 しかし、すぐにその躊躇いは、強い決意で塗り替えられた。 そして、幽助は、言葉を続けた。 「その時は…………絶対に生き返らせてやるから」 そう、死んだ人間は、生き返らせることができるのだ。 心も体も、生前のままで。 その事を、浦飯幽助は知っている。 知ってしまって、いる。 だから、雪村螢子も生き返るのではないかと、そう思ってしまった。 生き返る希望を捨てたくないと、思ってしまった。 現実的にその可能性を考えてしまうほど、もう二度も『蘇生』に立ち会ってしまっている。 一度目は、交通事故であっけなく死んでしまった、自分自身。 トラックにひかれそうな子どもを助けた行為が、『予想外の死』だったということで、生き返る権利を勝ち取れた。 その時は、生き返る『試練』を受ける前提での蘇生だったこともあり、まだ『死人は生き返るのだ』と悟る段階にはいなかった。 二度目は、暗黒武術会にゲストとして正体され、優勝した時。 遅かれ早かれ寿命での死亡が避けられなかった師匠の幻海を、『優勝することによる褒美』として、黄泉から呼びもどすことができた。 その死を認めることができず、しばらくは他者に話すことさえ拒みながらも、どうにかその死を受け入れた後に、彼女の元気な姿を見せられた。 死んだ人間を、生き返らせることはできる。 誰がどうやって生き返らせたのかなど知らないし、それが正規の手段なのかさえ分かっていない。 けれど、間違いなく、生き返らせる方法はあるのだ。 だから、殺し合いを強要した人物の『優勝者には、相応以上の報酬が用意してある』という言葉も、本当なのだろうと受け入れた。 人間をこれだけの規模で拉致し、広い会場を貸し切り、大勢の参加者を瞬間移動で会場まで運ぶだけの、財力と権力とそれ以外の不思議な力。 あの暗黒武術会と同じぐらいか、それ以上の規模の『ゲーム』だということは、容易に察しがついた。 そんな大きな規模で『殺し合いゲーム』を開く外道は、あの武術会の運営委員のように、この催しを心底からエンターテイメントだと見做しているのだろう。 なら、提示された『賞品』に嘘はないはずだ、と。 そこまで理解が及んでしまった幽助が、『蘇生』の誘惑を諦めることは、とうてい不可能だった。 自分のような人間だって生き帰ったのだから、 螢子のような人間が、生き返ってはいけないはずがない。 あの暗黒武術会のような催しでさえ、死者蘇生が許されるのなら、 こんな理不尽な『ゲーム』の為に殺されて、生き返っていけないはずがない。 ――ハタと気づいたように顔をあげ、慌てて付け加えた。 「いや、誤解すんなよ? 別に皆殺しして優勝しようなんて考えてねえからな。 だいたい桑原の奴だってここにいるんだぜ?」 すぐ近くで螢子の魂が見ているかもしれない、と気にしたように。 「殺し合いを開いた奴らをぶっ飛ばして、犠牲になった連中を蘇生させる。 それだけのことだ」 優勝すれば、死者を生き返らせることは可能。 それを幽助は受け入れている。 それでも。 殺し合いに乗るという手段で、 最後の1人になった褒美によって、 雪村螢子を蘇生させてもらう、という道などあり得なかった。 浦飯幽助に対する、雪村螢子への想いは、まぎれもなく一途で、強いもの。 ある意味では、共に戦って来た3人の仲間よりもずっと大事な、守りたいと思って来た存在だった。 それでも幽助は、ごくまっすぐな人間だった。 『目的の為に他者を犠牲にできる』人間では、なかった。 『褒美』とやらに頼る時が来たとしても、それは主催者の言いつけを守って優勝した時ではなく、主催者を屈服させた時。 あの『声』の主をぶっ飛ばし、しかる後に、脅すなり無理強いするなりして、蘇生を実行させるまで。 その為に、まず必要なこと。 それは、幻海の蘇生の経験から、幽助が得ていた知識。 死体の、保存だった。 肉体を、腐敗させてはならない。 幽助の知識では、魂の蘇生は可能でも、肉体の復活は鮮度の高い遺体がなければ不可能だった。 霊安室に踏み込み、灯りをつけた。 殺風景な空間に、簡単な備え付けの神棚やら、遺体を置く為の寝台やらが備え付けられている。 すぐに、違うな、と思った。 空気が、ぬるい。 室温が、高すぎる。 それも無理からぬこと。 一般の病院では、霊安室の室温は22℃から26℃の間を維持されている。 しかし、死体の保存に適した室温はおよそ2℃から4℃。 より半永久的に腐敗を食い止めたいなら、-15℃からー20℃の間で保管するのが望ましい。 しかし、病院の霊安室はあくまで、死体を保存する場所ではなく、死体を一時的に安置する場所。 そこで半日以上死体を保管することは少なく、また『遺族と遺体の面会場所』という側面が強いがために、 生きている人間にとって不快にならない環境の方が重要視されることになる。 その室温では、腐敗を避ける為に最も重要な、遺体の中心温度降下にはとうてい足りていない。 もちろん、幽助にそこまで専門的な知識はなく……死体を保存するなら、もっと冷たい場所の方がいいはずだと、漠然と考えただけだったが。 すぐに、他に適した場所がないかを考える。 遺体を保存する為の、設備がある場所。 葬儀社。 警察。 あるいはどこか、大きな冷凍室がある場所。 幽助の知識で思いつく候補地は、その程度。 いずれも、GPSの地図には描かれていない場所だった。 けれど、これだけ広い町なら、それらが一つもないということはないはずだ。 「悪い、螢子。……すぐ、お前を休ませる場所を探すから」 ひとまず寝台に螢子の体を降ろし、上階へと戻る道を駆けだした。 殺害現場に、ディパックを取りに戻る為に。 抱えるものさえなければ、幽助の足で病室にたどり着くのはすぐのこと。 そこに残されていたのは、ひと1人を殺害した分量の、血だまり。 三つのディパック。 そして、首が変な方に曲がった男。 視界に入れることさえ嫌悪を覚える、螢子の命を奪った人間。 殺したことに、後悔はしていなかった。 それで恨みは晴れなかったけれど、拳には虚しさが残ったけれど、 それでも、男に対して『すまない』とは思わなかった。 なぜなら、螢子を殺したにも関わらず、その男は笑っていたのだ。 高らかに、大きな声をあげて。 素晴らしい行いを、成し遂げたかのように。 改心も罪の認識も、救う余地もなさそうに。 世の中には、救えない人間がいる。 幽助は、そのこともまた知ってしまっていた。 金を手に入れる為ならば、人とも思えないような残虐行為を、何とも思わない垂金権造。 医者であるにも関わらず、人の命をもてあそぶことに快感を覚える、神谷実。 改心の余地がない存在を見て来てしまったが為に、螢子を殺した男も、『そういう人種』なのだと見なしてしまった。 それでも、罪悪感はあった。 人間は、人間を殺してはいけない。 改心の余地がない妖怪を殺してきた幽助でも、その一線だけは守ってきた。 どんな人間であれ、殺害が禁忌だと理解できないほど、幽助は愚かではなかった。 それでも、『殺す以外に方法がない』状況で、犠牲者を食い止めるために、殺したことはあった。 その後味の悪さは、しかと記憶していた。 あの時は、幻海の蘇生術があったからこそ、相手を蘇らせることができたけれど、 今はそれも叶わない。 「もし螢子以外にも『蘇生』が叶うなら、その時は生き返らせてやるよ」 螢子の時とは打って変わって、吐き捨てるように言葉をかけた。 言ってみて、なんて寒い言葉だろう、と思った。 『誰も彼も生き返らせる』というのは、いくら幽助でも、都合のよい考えだと分かった。 理不尽なゲームによる死亡だから生き返っていいと言うのなら、 それこそ世の中は理不尽な死であふれているのだから。 だからそれは、希望ではなく『可能ならそうする』という予防線だったのかもしれない。 もし同じような『殺さずにいられない人間』を前にしたら、今度は躊躇わず、殺してしまうかもしれないから。 ――己を罰しているつもりか? かつての宿敵だった男の声が、聞こえた気がした。 真に強くなりたければ、他者を切り捨てるべきだと、そんな信念を持っていた、宿敵の問いかけ。 あるいはそれは、幽助の深層が、無意識に疑問として表れたのかもしれない。 そうかもしれないな、と思う。 戸愚呂に戦友の桑原を殺された時に感じた、激しい怒りと似通った感情。 男を殺した時、その感情が体を支配していた。 あと少しでも早く、駈けつけていれば。 あと少しでも早ければ。早ければ。早ければ。 自分自身が何より許せない、という断腸の思い。 その想いが、より厳しい道へと、失態を埋め合わせようと、 自分を追いたてていないと言えば、嘘になる。 幻聴は続けて言った。 俺と同じく、力を振るうことに身を任せるつもりか、と。 その問いかけに、幽助も心の中で答える。 あんたとは違う。俺が殺す時がくるとしたら、それは犠牲者を減らすためだ。 もしこの『殺し合い』の中にも、許せない人間がいたのなら、 誰かが誰かを、殺さねばならない時が来たのなら、 その人間を殺さなければ、犠牲者が増えるというのなら。 その人間は、他の誰でもなく、自分が殺す。 一度人を手にかけ、既に罪を犯した、幽助が殺す。 ※ ※ 可能なら生き返らせることにしたはいいものの、遺体の移動方法については少し悩んだ。 幽助の腕力で人間2人を担いで移動することなど造作もなかったけれど、 しかし、螢子とその殺害犯とを、いっしょくたにかついで歩くなど、とうてい論外。 しばらく悩み、とにかくまずは荷物からまとめるかと3つのディパックを整理する。 すると問題は、あっさり解決した。 幽助のディパックは、同じ大きさのディパック二つを、するすると吸いこんでしまったのだった。 試しに、ディパックの口を開け、男の遺体にかぶせてみた。 するとまた、同様にするすると収納することができた。 ディパックに入れたとたん、GPSの男を示す光点が、消えた。 生きた人間はどうか知らないが、遺体ならディパックに入るらしい。 半ば麻痺した頭で、幽助は理解した。 荷物を遺体含めて収納したディパックを、幽助は体の前に来るよう背負う。 背中を開けたのは、これからその位置に、少女の遺体をおぶさる為だ。 いくらディパックが運搬に便利だからといって、螢子の体を、食糧やら水やら、 まして殺害犯の男といっしょにするなどは、やはりあり得なかったので。 そのまま早足で、再び霊安室へと。 「待たせたな、螢子。……あともう少しだけ、辛抱してくれ」 近くにある非常口から、外に出る。 最愛の少女の亡きがらを、背に負って。 こうして浦飯幽助は、歩きだしたのだった。 その行く道は、未だ、夜の闇につつまれている。 【G-4/病院前/一日目・黎明】 【浦飯幽助@幽遊白書】 [状態] 精神に深い傷、雪村螢子の死体をおんぶ [装備] 携帯電話(携帯電話レーダー機能付き) [道具] 基本支給品一式×3、血まみれのナイフ@現実、不明支給品1~3、渋谷翔の遺体 基本行動方針 殺し合いを潰した後に、螢子蘇生の可能性に賭ける。 1・螢子の遺体を保存できる場所を探す。 2・殺すしかない相手は、殺す。 3・桑原を探す。 [備考] ※参戦時期は124話、桑原襲われるの報を聞いた後、御手洗が目覚める直前です。 Back 化物語 ―あかやデビル― 投下順 Next プライベート・キングダム Back World Embryo 時系列順 Next バトロワの王子様 天使みたいにキミは 浦飯幽助 Spiky Goose
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少女には向かない職業(後編) ◆j1I31zelYA 「あらあら」 ハッタリの説明を聞くや、即時撤退を選んだらしい。 カンカンと、金属の階段を駆け降りるような音が微かに聞こえる。 そして、 足元に血の華が、咲いていた。 硝煙の濃い匂いと、四方八方に散らばる空薬きょうと、蹴倒された扉の下に隠れるように。 コンクリートの床に染み込み、ドライフラワーのような色で、扉の下からはみ出していた。 血の痕跡は途切れることなく、扉から右手へ、曲がり角の階段へと続いて行く。 「どうりで、迷いなく逃げたわけですわ。運が悪かったのですわね」 ドアを盾にしていたとはいえ、跳弾が僅かな隙間から飛び込む危険は常にあった。 無数に放たれた不規則な弾丸のひとつは、運悪く彼女の体をかすめていたらしい。 敵の移動経路を教えてくれる、何よりの痕跡だった。 チェックメイト。 あのような跳弾が使える地形など、限られている。二度目はない。 加えてこの怪我だ。ライフル弾ならば、かすめただけでも相当の出血量になるはず。 「とっても楽しかったですけれど……そろそろ終幕ですわね」 血痕を追って、下の階に降りた。 最後まで油断しないよう、周囲に気を配りながら。 先刻とは一転して静かになった建物内を駆けおりつつ、自己評価をつける。 (かなり満足度の高い戦いでしたわね。 最後があっけなかったのが惜しいところでしたけど……次の相手に期待するとしましょう) 戦っている間は楽しかった。 それでも、もうすぐ終わるとなると物足りないと感じてしまう。 今回の対戦相手に、何ら不足などなかったというのに。 やはり、自分は戦いなしでは生きていけないのだ。 次の戦いを。 もっと戦いを。 もっと高揚を。 ……やめよう。とどめを刺すまでは、今戦っている相手に集中しなければ。 血痕が続いていたのは、ホラーハウスの出口ではなかった。 再びアトラクションの順路に戻る為の、非常扉で途切れていた。 最後の抵抗を試みるつもりかもしれない。銃撃を警戒して、細く扉を開ける。 ぞわっとするような冷気と、霧のように濃密な煙が襲って来た。 身構えたものの、特に有害な匂いはない。 (ドライスモークですわね。無職透明、毒ガスなどが混入されている線はなし。 このアトラクションで使われている擬似煙みたいですわ) 様子をうかがったところ、どうやら樹海の奥にある泉という舞台設定のフロアらしい。 中央にある泉から、大量のスモークがたかれて視界を悪くしているのだ。 なるほど、煙によって血痕を隠す為に、フロア内に戻ったのか。 広がる水面に跳弾の可能性が再び頭をよぎるが、今回は盾であるところの非常扉をマリリンが塞いでいる。 “一秒を十秒に変える能力”をみたび発動して、突入。 カツンと、突入するなり何かを蹴飛ばした。 拾い上げる。 なんと、さっきまでマリリンを苦しめていたミニミ機関銃だった。 マガジンは抜き取られている。ちょうど弾切れのタイミングだったのか、あるいは弾を抜いてわざと落としていったのか。 だとすると何の為に? 霊透眼鏡を装着する。 霧の中に少女の隠れ潜む姿はない。 今度は透視する対象を“血痕”に変え、意識的に地面の血をたどろうとする。 煙を透かして浮き上がって見える血痕が、泉の中へと続いていた。 (なるほど……そこに隠れていらしたのですね) 大量出血の状態で池に隠れ潜むなど無茶だが、利には叶っている。 マリリンはまず、霧の中で待ち伏せがないかを警戒し、次に煙の広間を抜けて、アトラクションの正面出口から少女が逃げた可能性を考えたはずだ。 にまにまと笑いながら、マリリンは水面へと歩いて行く。 怪我をしていることも加味すれば池の中は盲点だし、出口に血痕がなくとも、霧の中で止血した可能性を考えたはず。 機関銃をとっさに捨ててしまったのも、水に漬けて故障するのを恐れてのことだろう。 少女の誤算は、マリリンが霊透眼鏡を持っていたことか―― ずしん、と手の中の機関銃が、急に重たくなった。 (あら……?) 違和感は機関銃だけではない。背中のディパックも、急激に重量が増えたみたいに重たくなる。 続けて、違和感が現れたのは身にまとう衣服だ。 体に合ったサイズの迷彩服が、急にだぶだぶと伸びた。 両手両足の裾が大幅にのび、裾あげが必要どころではない長さになる。 重たくなった機関銃を見下ろす。 重たくなっただけでなく、マリリンの手に比べてサイズがずいぶんと大きくなっている。 まるで――マリリンのの方が体が縮んでしまったみたいに。 「……え? …………え? なんですの……?」 口に出した疑問の声は、心なしか、普段の声より高く、幼くなっている気がして、 池が大量の水を吐き出し、『巨大な人影』が、ぬっと池から姿を現した。 濡れた桃色の髪をぺったりと額に張り付けたその、『マリリンよりはるかに大柄な少女』は、両手をついて岸に上がり、空洞のような瞳でぎろぎろとマリリンを睨み据えた。 その段階で、マリリンの動転は、ようやく現実に追いつく。 ――この少女は、動きが十分の一になっていない。マリリンと同じスピードで動いている。 (え…………“一秒”を“十秒”に変える能力が、解けている……? どうして……?) 視界に広がる情報が激変し、先ほどまでの冷静さが抜け落ちた。 茫然とたたずむマリリンを前に、少女は全身を池から現す。 スカートの下、左足から、大量の赤い液体を滴らせていた。 しかし、それは血液ではなかった。 「血のり……!?」 薄暗い空間の中、地面に染み込んだ色だけで判別することはできなかった。 しかし、直に目にすれば分かる。本物よりも、より鮮やかな色をした赤い色に。 少女の怪我が血のりに過ぎなかったとしたら、偽の血痕を追ってここまで来たとしたら、それは何を意味するのか。 (私は……おびき出されたと、いうことですの?) 麻痺した頭でそれだけを理解する。 少女の方は、池の近くの置き石の影から、自身のディパックを取り出していた。 即座に取り出されたのは、抜き身の日本刀。 次の刹那、少女はマリリンへと大きく踏み込んでいた。 「きゃあっ…!?」 普段なら決して出さない類の悲鳴をあげて、マリリンは白刃を転んでかわす。 そのままごろごろと、池のふちまで転がった。 体が、自分の体ではないみたいに動きが鈍かった。 まるで、ただ縮んだだけではない――『戦闘訓練を受け始めた素人の頃』に、時間を戻されたみたいに。 顔を上げると、そこには泉の水面がある。 5歳ぐらいの年齢とおぼしき金髪の少女が、水面に移りこんでいた。 「だれ…………私……?」 ぼうぜんとしたマリリンの声に、冷え切った少女の声が答える。 「支給品の――『逆玉手箱の煙、濃度十分の一』よ。 意味は分からなくていいわ。すぐに死ぬんだもの」 ◆ 逆玉手箱。 『前世の実』という果物の果汁を、霧状にしたもの。 前世の実とは、魔界で育つトキタダレという花の果実であり、食した者をわずかな時間だけ前世の姿に戻す。 そして逆玉手箱の煙は、煙を浴びた者を若返らせる。 浴びる量次第では前世の姿まで戻すこともできるが、量を調節すれば、胎児に戻すことも、幼少期に若返らせる程度で済ませることもできる。 今回支給された玉手箱は、濃度をかなり薄めてあるため、せいぜい幼児期の頃に戻る程度。 それが、タンクトップの少年が持っていた支給品のひとつだった。 童話に出てくる玉手箱さながらの容器が、全部で3箱。 最初はその効能を疑った。 試しに手近にいた虫を放り込んで実験してみたところ、効果は確かな形で表れた。 決定的な切り札と成りえるが、それでもミニミ機関銃の使い勝手にはおとる、というのが由乃の評価だ。 ましてや、マリリンは常人の何倍ものスピードで動ける上に、戦闘慣れもしている。 そんな相手に煙状の何かを放出したりすれば、毒ガスか催涙弾の類かと警戒されてしまう。 マリリンの回避能力があれば、煙を浴びせるより早く飛びずさって回避される公算も大きいのだから。 加えて、由乃までもがその煙を浴びるリスクがあるというデメリットも無視できなかった。 そんなリスクを冒すよりも、ミニミ機関銃で撃ち抜く方がよほど簡単だ。 だから、使うならば跳弾による攻撃が失敗した後だと決めていた。 木の葉は森の中に隠す。 煙を隠すなら、より大量の煙の中だ。 しかし、あからさまに視界の悪い場所へと誘えば、おそらく罠を警戒される。 マリリンをほぼ無警戒で誘導する為には、『由乃は逃走目的でスモークのフロアを目指している』と誤認させなければならない。 『逃走目的』だと誤認させる為にはどうすればいいか。由乃が負傷していればいいのだ。 その為の血のりである。 加えて、流れ弾に当たったと思わせることで、少なからずマリリンの油断を誘える。 マシンガンを捨て、池の岸辺で箱を開け、すぐに池の中へ。 池に入った目的は隠れることではなく、こちらが煙を浴びないようにする為。 由乃には青酸ガスの充満した家でも、息をとめて戦った実績がある。 煙が拡散しきるまでの間、水中で息をとめているぐらいはわけもなかった。 入口に機関銃を捨てたのは、マリリンに部屋の中で立ち止まってもらうためだ。 超スピードで動けるマリリンに、立ち止まって煙を浴びせるために。 また、いったん煙さえ浴びせてしまえば、マリリンのスピードを封じられるという読みもあった。 どんな人間も、幼少期から突出した能力を持っていたわけではない。 由乃自身も、本格的にあらゆる分野の学習を積んだのは、我妻家に養女として引き取られてから後のことだ。 マリリンの能力が先天的なものであれ後天的なものであれ、5、6歳の時点で今ほどの超スピードで動けたとは思えない。 以上が、由乃の施した仕掛け。 賭けの要素も幾つかあったが、ひとたび嵌らせることができれば、マリリンに生きのびる道はない。 ◆ まるで、小さかった頃の私に戻ってしまったみたいだわ、と思った。 体術もナイフの腕も銃撃もへたっぴで、戦いには向いていないと思われていたころの自分に。 頭上を見上げると、少女が第二刀を振りかぶっている。 振り下ろされたら、死ぬ。 だからだろうか、少女の――その女性の動きが、スローモーションでゆっくり見えた。 女性としては小柄でも、5歳のマリリンにとっては大柄な大人と同じだ。 敵わない、と直感してしまった。 大人と子ども。強者と弱者。 圧倒的な彼我の差を、頭ではなく肌で感じ取ってしまった。 よく分からないけど、今のマリリンでは勝てない。 能力も使えない。 立ちふさがる大柄な体。 大きな、大人の影。 5歳のマリリンでは、大人には勝てない。 その時、 ズキン、と頭から痛みが生まれた。 ――うえーん! 戦いたくなんてありませんわぁ、お父さま! ――マリリン!戦場じゃそんな甘えは通用せんのだぞ! フラッシュバック。 幼かったころの、マリリンと父親だった。 (え? ……何? 今、何を思い出しましたの?) ズキン、と痛みは再び、マリリンの頭から生まれる。 ――またかよ! しつけーぞ、毎日毎日! ――これが訓練なんだとよ。おかしーんじゃねーの、コイツ!! 貧民街の路地裏。 タバコの匂いが充満する、粗くれの巣窟。 職を失った元傭兵のたむろする治安の悪い場所。 そんな大人たちの前に立つ、幼き日のマリリン。 大人の戦士たちの人影は、とてもとても大きくて、とてもとても怖いものに見えた。 でも、戦わなければいけないのだ。 戦い続けなければいけなかったのだ。 だって、戦わなければ――。 (……これは何? ……分からないけど、思い出したくない!) スローモーションで振り下ろされる刀。 真横に転がって、避けた。 体は5歳児のままでも、10年の戦闘訓練による記憶は失われていなかったのだろう。 ズキン 痛い。 痛い。 記憶の奔流は、止まらない。 ――んじゃ、行ってくるぜ! マリリン ――みんな、ちゃんと戦場から帰って来てね ――オレらが帰ってくるまでに、お前はうんと強くなれ! ――戦うことを恐れんな! ――お前が人並みに戦えるようになったら…… 本当は、戦うことが大嫌いだった。 傷つくことも傷つけられるのも。 大人の大きな身体から繰り出される、拳や蹴りがとても怖かった。 それでも、戦いをやめることはできなかった。 マリリンが戦い続ければ、優しかった皆は帰って来てくれるのだ。 強くなれば、戦い続ければ、帰って来てくれると言ったのだ。 (なんで……こんな時に、こんな時に……!!) 久しく戦ったことのなかった、『とうてい敵いそうにない、体格ではるかに勝る大人』。 ろくに戦えない、幼かった頃の体。 きっかけさえあれば、記憶の封印は簡単に開いた。 戦い続けていれば、皆が帰って来てくれる。 その言葉だけを支えにして、戦う為の訓練に身を置いていた。 だからマリリンは、ずっと記憶に蓋をしていた。 戦うことが楽しかったんじゃない。 『戦うことが楽しい』と思わなければ、生きていけなかったんだ。 優しかった皆は戦場から帰って来ない、何も持っていない自分を、 『私には戦いがある』と慰めなければ、耐えられなかったんだ。 (私は……本当は……戦いたくなかったはずなのに……) 戦っても戦っても、満たされなかった。 当たり前だ。本当に求めていたのは、戦いではなかったのだから。 本当に欲しかったのは、友達だったり、仲間だったり、辛い時に一緒にいてくれる人で―― なんで、こんな時に思い出さなければいけないのだろう。 殺し合いに巻き込まれて、 『戦うことは楽しいのだ』と思いこんだまま、色んな人に戦いをふっかけて、 挙句の果てに、自ら殺そうとした少女から、逆に殺されようとしている。 どん、と背中が、岩場に当たった。 逃げ場を塞がれ、少女の袈裟斬りが振り下ろされる。 最後の最後で、マリリンは、自分が泣いていることに気づいた。 斬。 「私にはもう……何一つ……残ってな……い……」 『戦闘狂』を演じていた少女の最後の言葉は、 血だまりの中に、気泡となってかき消された。 ◆ 既に殺してしまった人間に向ける憐れみも感慨も、我妻由乃は持ち合わせていない。 その心にあるのは、最初の一人を無傷で殺害せしめた自信と、目的にひとつ近づいたという安堵だけだった。 日本刀の血をぬぐいつつ、由乃が次に目指した場所は遊園地の管理施設だった。 目的は、マリリン・キャリーがまず行ったことと同じ。 監視カメラによって、本来の標的だった『大声の正体』を探ることにある。 濡れた服が乾くまで待つ暇はなかったので、青っぽい従業員用の作業服に着替えた。 並行して、遊園地内部の監視カメラをチェックする。 ホラーハウスに少女一人と蛇一匹の死体があることをのぞけば、人っこひとりいなかった。 無理もない。マリリンという少女の戦闘で、だいぶ時間を使ってしまったのだから。 大声の主と入れ違いで遊園地に入ったのだとしたら、とうに離れてしまっている頃合いだろう。 しかし、その次に由乃は、マリリンがやらなかった操作をした。 監視カメラの映像記憶を探しだし、巻き戻し再生。 そうして、遊園地の観覧車前で謎の儀式を行う、少年二人の姿を発見するにいたった。 監視カメラに音声は記録されない。どういう仕組みで、たった二人(プラス後からきた一人)で数十人規模の大歓声を起こしたのかは分からない。 しかし、監視カメラを追うことで、彼らがどの出口からどの方向に逃げたか、おおよそは把握できた。 マリリンや由乃たちと入れ違いになるタイミングで、南方の柵を越えて脱出している。 おそらく、由乃が来た方向と逆、南下するルートを取るつもりだろう。 即座に追跡を敢行すると決めた。 戦闘に時間を費やしたとはいえ、おおよその方向は分かったのだ。 次なる獲物の当てもない以上、南下してみない手はない。 戦闘による疲労を感じさせず、由乃は管理施設を飛び出した。 我妻由乃の進撃は、止まらない。 【マリリン・キャリー@うえきの法則 死亡】 【F-1/遊園地/一日目・早朝(放送直前)】 【我妻由乃@未来日記】 [状態]:健康、見敵必殺状態 [装備]:遊園地の従業員服@現地調達、雪輝日記@未来日記、ミニミ軽機関銃(残弾200、予備マガジン0)@現実、 詩音の改造スタンガン@ひぐらしのなく頃に、来栖圭吾の拳銃@未来日記、真田の日本刀@テニスの王子様、霊透眼鏡@幽☆遊☆白書 [道具]:基本支給品一式×4(携帯電話は雪輝日記を含めて2機)、会場の詳細見取り図@オリジナル、 逆玉手箱濃度10分の1(残り2箱)@幽☆遊☆白書、不明支給品0~1 基本行動方針:真の「HAPPY END」に到る為に、優勝してデウスを超えた神の力を手にする。 1:遊園地から逃げた3人を追いかけつつ、南側のルートを通って地図の中心へ向かう 2:雪輝はしばらく泳がせておく(出会えば殺す) ※54話終了後からの参戦 [備考] F-1の遊園地、ホラーハウス内部に、エカテリーナ@とある科学の超電磁砲の亡きがらおよび、マリリン・キャリーの斬殺死体が放置されています 【会場の詳細見取り図@オリジナル】 天野雪輝に支給。 携帯電話のGPSでは表示しきれない細い道や、施設の内部の詳細見取り図(遊園地ならば、アトラクション内の構造まで)まで細かく記されている。 ※ただし、施設の中でなぜか『ビル』のみ、一切の情報が抜け落ちている。 【血のり@テニスの王子様】 天野雪輝に支給 立海大テニス部の仁王雅治が使っていた血のり。 試合中に負傷して大量出血した振りをして、対戦相手の油断を誘おうとした。 どうしてテニスの試合で『大量出血する事態』を前提とした策を考えるのか、突っ込んではいけない。 【逆玉手箱の煙(濃度十分の一)@幽☆遊☆白書】 遠山金太郎に支給。 裏浦島が使っていた逆玉手箱(持ち主を胎児にまで若返らせる)の濃度を薄めたもの。 煙を浴びた人間を、およそ八年から十年程度(つまり、某探偵漫画に出てくる毒薬より少し昔の年代に)若返らせる。 効能の持続時間は元の玉手箱と同じで、数分程度。 【真田の日本刀@テニスの王子様】 遠山金太郎に支給。 真田弦一郎が精神統一を行う際に使っていた日本刀。 切れ味は確かで、太い巻き藁もすっぱり両断できる。 【エカテリーナちゃん@とある科学の超電磁砲】 マリリン・キャリーに支給。 婚后光子の飼っているオオニシキヘビ。 頭のリボンがチャームポイント。 【気体爆薬『イグニス』@とある科学の超電磁砲】 マリリン・キャリーに支給。 フレンダが使っていた爆薬の一つ。 解放後は一瞬で拡散して、空間そのものを起爆装置と化す。 …というのはハッタリで、実際はただの窒素ガス。 Back 「部活がしたいです」 投下順 Next 君は何を望むの? 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